Robbie Williams:レーベルに反発を示すアーティスト

Robbie Williamsは、Tera FirmaによるEMI買収以来、同社で働くことを拒否している。彼は2002年のEMIとの8000万ポンドの契約があるが、現在はアルバムのリリースを見合わせている。彼のマネージャーは、新たなEMIの経営者となったGuy Handsを「プランテーションのオーナーだ」と揶揄している。
Robbie WilliamsのマネージャはTimesにEMIへの不満を漏らしている。

“The question is, ‘Should Robbie deliver the new album he is due to release to EMI?’ We have to say the answer is ‘No’. We have no idea how EMI will market and promote the album. They do not have anyone in the digital sphere capable of doing the job required. All we know is they are going to decimate their staff.”

Robbie Williams issues call to arms in protest at EMI 'bean counters' - Times Online

EMIのプロモーション戦略についての不満(EMIにはデジタルスフィアに対応できているのか?)と、(彼らにとっての)過度の人員削減への不満を挙げている。
Robbie WilliamsRadioheadスタイルでの新譜の販売を望んでおり、EMIにあるバックカタログのデジタル配信なども自らの管理下におくことを望んでいるようだ。また、Williamsクラスのアーティストをどう遇するのかについても不満を漏らしている。
また、2002年のEMIとの契約にも不満がないわけではない。8000万ポンドの契約の中には、CDのリリースだけではなく、Williamsのライブやグッズの売り上げもEMIと分配することになっており、それに対しては2008年中にはライブはしない、オンラインでB面集を発売するだけ、2009年に新譜をリリースする(これでEMIとの契約は終わる)、という反発を示している(ライブがきついというのもあるようだけれど/参考:Robbie Williams ツアーを封印!? - VIBE-NET)。
Coldplayもまた、EMI音楽部門のトップが去り、今後も人員削減が予想されている中、選択肢を考慮しているという。Coldplayのマネージャは音楽部門のトップTony WadsworthがEMIを去ったことで、バンドが動揺しているという。

“Tony was the reason a lot of bands signed to EMI. Artists want to work with music people, not finance guys.”
(Tonyがいたから多くのバンドがEMIと契約した。アーティストは音楽人と仕事がしたいのであって、会計屋と仕事をしたいわけじゃない。)

既にRadioheadPaul McCartneyもEMIを去っている。EMIもこれ以上、スターを失いたくはないだろう。
ただ、このようなアーティストの反発は単純にEMIがデジタル時代への移行が遅れている、というだけではないのかもしれない。ここで、相当批判されているGuy Handsであるが、彼はRadioheadの戦略を高く評価し、EMIはそうしたアーティストの試みをサポートするべきだ、と主張しており、方向性としてはアーティスト達とマッチするところもあるのではないかと思うところもある(もちろん、本音と建前ってのがあるだろうけど)。
まぁ、そうなると、単純にデジタル時代への対応を求めている、というよりは、それ以外のところでの反発(音楽部門のリストラやレーベル-アーティストの契約問題)が強いのかなと思うところもある。

EMI sources said: “Many artists have raised fundamental questions about the record business in the digital age. EMI is working on a restructuring of its recorded music division to address the needs of artists in what is a very different market from the 1990s.”

EMIは「デジタルを受け入れるために」、音楽部門のリストラが必要だ、という方針を示している。なんとも難しいところだけどね。
デジタル時代は、音楽産業はどうあるべきかという問題と、アーティストとどのような関係を結んでいくのか、という2つの問題を突きつけているのかもしれない。
(追記)
FT.com / Mergermarket - Hands warns of ‘fundamental change’ at EMI
アーティストとHandsの軋轢はこの辺にあるのかも。