日豪捕鯨YouTube問題って、もはや捕鯨問題じゃないじゃん

 オーストラリアが日本の調査捕鯨に反対していることをめぐり、「豪州も希少な野生生物を殺している。人種差別ではないか」などと批判する動画が大手サイト「ユーチューブ」に投稿され、波紋を呼んでいる。約3週間で閲覧は80万回以上。豪州の公共放送ABC(電子版)が、「品がないことだが、両国の関係には影響しない」とするスミス外相の反応を報じる事態になっている。

asahi.com:捕鯨問題、ユーチューブ動画めぐり日豪が火花 - 国際

何と言うか、捕鯨云々を横に置いた罵りあいになっちゃったなぁという感じがしないでもない。
個人的にはこの動画はあんまり好きじゃないな。相手を貶めてもそれを見た個人の反発を生むだけだし、それで自分の正当性を示せるもんじゃないだろうに。人種差別主義者なんて言葉は火に油を注ぐためにはいいけど、理解してもらうための言葉じゃない。
もちろん、あなた方が捕鯨を残酷な行為だと思うのと同様に、私達もカンガルーや(絶滅危惧種の)ディンゴの駆除を残酷に思いますよ、価値観が違うと思いませんか?っていうならわかるんだけどね(もちろん、そういう動画であれば、ここまでヒートアップすることも無かったんだろうけど)。
まぁ、捕鯨問題なんて大半が倫理的な嫌悪感が生んでいるようなものだから話がこじれちゃうんだろうね。個人的には鯨が可哀想ってメンタリティは議論から排除したほうがいいと思うよ、オキアミ愛護者としてね(もちろん冗談)。その辺は、野生保護方針で反映されているわけだから、それ以上盛り込むと収拾がつかなくなると思うのだけど。倫理上の問題は、異文化間では特に際立つもの、そう相容れないものはとっとと排除して、それ以外に問題となる点がクリアされているかいないかを考えるのが正しい道だと思う。
このような流れ(豪州政府、「児童ポルノ規制をやりすぎれば一般の利用に影響する」ということを理解できず)を見てても、倫理的な嫌悪感から、極端な行動が生み出されているような気もするけど、オーストラリアってそういう層が力を握っているってことなのかな。
にしても、1本のYouTubeに投稿されたビデオからここまでの議論になるってのが面白い。たかだか一個人が作ったビデオなのだけど、「そこから派生する活動」がこんな大きな流れを生み出すってのは、良し悪しは別にしても面白いなと思う。もちろん、かなり「煽ってる」ものだからこそ、こうした状況を生み出すってのもジレンマだとは思うけどね。議論を混乱させるようなもののほうが注目され、建設的なものが見落とされる、それはそれで悲劇だから。
世界は繋がったけれど、人々が繋がりあえる時代はいつ来るのかしらね。