中国政府、海賊版への取締りをアピール、ただし依然として曖昧なところも

 中国政府は17日、国家版権局と公安部、信息産業部が合同で2007年8月から10月まで行なったオンライン海賊版配信の取り締まりの成果を発表した。この活動には、映画や音楽、ソフトウェアや書籍などを無許諾で配信する海賊版コンテンツの取り締まりのほか、ネットカフェにおける海賊版配信を管理する人員の強化なども含まれる。

中国全土で海賊版配信を1,001件摘発、2007年の取り締まり成果公表

確かに昨年から外圧に押されてか、以前に比べると積極的に海賊版の取締りを行っているようにも思える。国家版権局の閻暁宏副局長によると、2007年中に、オンライン違法コンテンツ配信を1,001件摘発、うち832件は違法コンテンツ配信の停止命令、339サイトを閉鎖させ、31件は立件した、と。インターネットカフェにおいて行われている海賊盤コンテンツの配布なども取締りを強化しているようだ。
ただ気になるのは、中国が抱えている問題は、こうしたあからさまな海賊行為だけないということ。先日、Yahoo! ChinaとBaiduとのMP3検索機能への判決の違いなどが話題になったが、リーガルなプラットフォームにおける線引きをどうするか、という問題を抱えている。少なくとも、違法に配信されているサイトへのリンクを張る、違法に配信されているコンテンツへのダイレクトリンクを提供するというのは、中国に関わらずその線引きが曖昧であるようにも思えるが。

 中国メディア「金融時報」は、「百度Yahoo!のMP3ファイル検索サービスの是非に注目が集まっている。信息産業部から見て、これについて合法性を述べてほしい」と質問。これについて信息産業部電信管理局副局長の陳家春氏は「サイトを運営するには信息産業部の許可が必要となるが、百度Yahoo!はどちらもそれがある。サービスから見れば合法だが、サービスの内容次第でさまざまな行政の部門が関与している。もしMP3検索サービスの許可に関与するどこかの部門が違法だと認識した場合は、信息産業部は法律に基づき調査することになる」と回答した。

中国全土で海賊版配信を1,001件摘発、2007年の取り締まり成果公表

BaiduもYahoo! Chinaも合法的な存在だが、そこで提供されるサービスは個々に調査する必要がある、か。Yahoo! Chinaが違法性を認められている以上、Baiduがなぜ許されているのかについての説明が欲しいところではある。
かなり玉虫色の回答ではあるが、かといってそれは中国だからというわけでもないだろう。世界中でこの点に関して明確に線を引ける(施行も含めて)国はほとんどないだろう。個別に判断する、という曖昧さが引き起こす問題は、1つには新たなプレイヤーがリスクを回避するために冒険的にではなくなる、ということも考えるが、逆に、曖昧さに付け込もうとするプレイヤーにとっては、かなりの冒険を許す状況をも作り出すことになるのだろう。