BitTorrent Inc. & BitTorrent採用企業、Comcastを反競争的と批判

再びComcastの帯域制御が問題視されているよ、というお話。

BitTorrentをはじめとする大容量ファイルの配布を手がける企業は米国時間2月14日、ComcastがPtoP接続を制限するのは、ケーブルテレビと競合する動画サービスに対して打撃を与えるためのあからさまな試みだとして、同社を厳しく非難した。

BitTorrentと利用企業、Comcastを反競争的と非難--トラフィック制限問題:ニュース - CNET Japan

BitTorrent Inc.や同社の技術を利用してコンテンツ配信を行っている企業から、Comcastが自社ネットワークにおいてBitTorrentプロトコルを抑制するのは、Comcastがそれら企業のコンテンツ配信事業を、Comcastのサービスを守るための非競争的な目的でなされているのだ、と見られても仕方がないところもある。
しかし、Comcastはそのような目的ではなく、当該エリアのアップロード容量が他のユーザの利用に悪影響を与えることを回避するのが目的であり、そのために、ダウンロードを伴わないアップロードのみが帯域制御の対象であるとしている。つまり、BitTorrentにおけるSeedingを抑制しているというものだろう。Comcastの主張はこちらの記事にて詳細が示されている。
この辺の議論は、FCCにおいてなされるのだろうけれど、なかなか興味深いのは暗号化についてのお話。

 VuzeのMonahan氏は「われわれのほうが、暗号化などの操作を行うことによって(制限を)回避し、深刻な影響を受けるのを避けることに成功してきた」と述べている。しかしながら、「われわれや同分野の仲間が、いつまでもこれに成功するかに関しては、私には自信がない」とも、Monahan氏は付け加えた。

と、これまでAzureusをはじめとしたクライアント側のプロトコル暗号化の技術のおかげで、こうした問題を回避することができたものの、今後はどうなるかわからないと指摘している。このような点に関して、Comcastの広報Sena Fitzmauricは、BitTorrentクライアントによる暗号化による帯域制御の回避と、ISPによる暗号化による回避の回避という軍備拡大競争の一因に、Comcast自身がBitTorrentトラフィックへの対処について、詳細を明かしてこなかったことにもあると認めている。
私個人としては、帯域制御もいたし方のないものかなと思ったりもするのだけれど、その一方でこうした帯域制御に対しては、ユーザのデマンドが変化しており、1つのサービスとして大容量のコンテンツを扱うサービスを利用しているだけなのだから、それを制御すること自体おかしい、という意見もあったりする。
こうしたコンテンツプロバイダやコンテンツ配信技術を提供する側にあっては、ISPがそのボトルネックになってはたまらないと、新たにネットの中立性を強く擁護する法律を必要としているのだが、現時点ではそれを約束してくれるような法律はないようで、現在、Ed Markey下院議員(下院テレコミュニケーションインターネット小委員会長)が提案しているネットの中立性に関する新法案に期待を寄せている模様。

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