ICタグで紙のコピーにDRM?書籍にICタグ代が上乗せされるの?

コピー機にICタグ読み取り装置をつけた複写管理システムの実験に成功したとのこと。

ICタグで紙のコピーにDRM - Copy & Copyright Diary

どういうものかを簡単に説明すると、書籍に無線ICタグを埋め込むことで、企業内などで行われる私的複製の範囲に含まれない違法な複写を防ぐことができる、という管理システム。開発に当たっては、ゼンリン、日立製作所、リコーなどの共同研究グループによって行われていると。
まぁ、これまでは社内で行われる違法複写を予防することはできなかったんだけど、この技術によって、違法な複写に対しても課金ができるようになると。
といえば、聞こえはいいんだけど、上記記事では

  • 権利制限の範囲のコピーであっても、複写使用料を徴収されかねない
  • コンビニでのコピーは私的複製とは認められなくなる方向に行きかねない。

といった問題が生じうることを指摘している(詳細については上記記事を参照されたし)。
個人的に気になるところは、このような違法な複製を予防するための費用対効果なんだよね。結局のところ、一般の利用者にとっては、本や雑誌を私的複製の限度を超えて丸々コピーすることもないし(実際に書籍を購入したほうが安いわけで)、面倒だから頻繁にコピーすることなどない。なので、こうしたICタグをつけられても、われわれにとっては大して関係のない話ではあるのだけれど、我々が利用する書籍などに対しても、こうしたICタグが付与されるのであれば、なんともばかげているなぁと。それとも、企業向け、個人向けに別々のラインで書籍を生産するのだろうか?
さて、コストに関しては、

 同社などは、コピー機メーカーや出版社など関連する企業で団体をつくり、数年での実用化をめざす。量産できればタグは1個5円程度、読み取り機などは一式10万円程度になるという。

asahi.com:無線ICタグで「タダコピー」防げ 実証実験に成功 - ビジネス

まぁ、1冊につき5円程度と考えればそれほど気になるものでもないんだけど、それでもほとんど問題がないにもかかわらず、こうした著作権管理のためにお金を支払わされるというのは、あまり気持ちのよいものではない。
うがった見方をすれば、コピー機メーカーが新たな市場開拓をしたい、というだけなんじゃないかと思うんだけどね。
まぁ、ゼンリンなんかは

 住宅地図帳は取引先への訪問などに重宝するが、著作権料を払わずに無断で複写されることが多く、ゼンリンは「著作権保護に効果が期待できる」としている。

っていっているみたいだけど、最近だとWebで提供されている地図検索サービスを利用していることのほうが多いと思うよ。ってか、そういったサービスも複写(印刷)できないようにしちゃうのかしらね。

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