音楽産業のシステムは複雑だから単純化して考えられるものじゃないよね

前回、前々回のエントリにいただいたコメントへのご返信です。思ったことをそのまま書き綴ってみました。
その前に明確にしておきたいのは、この一連のエントリは「JASRAC批判全てが誤りだといっているのではなく、JASRAC批判の一部には正しくないものがある」「音楽産業を眺めてみると、JASRAC以外にもとても不透明なところがある」の2点に要約されます。その辺をご理解いただけると幸いです。

コメント欄より

匿名匿名 2008/02/26 05:24

匿名ですいません。
独自レーベルで作曲活動を行っている者です。

私はこの話の通りであると感じています。
問題が在るのはJASRACではなくて、レーベルです。

某レーベルから以前契約を持ちかけられました。
この時、私に提示された条件には、権利をレーベル側に完全に渡してしまうということが酷く回りくどい文面で書かれていました。
その契約を拒否したのですが、なんと、契約が完了する前にプレスを始めていたり、JASRACへの権利委託をされてしまっていたり、とんでもない状態になっていました。
(後で知ったのですが、これも某レーベルの常套手段のようです。)

私は私の作品について、誰かにその権利を譲りたいとは考えませんでした。
ですので、幾人かで集まり新しいレーベルを立ち上げて作曲を続けることにしたのですが
実際のところそんなことができる人は限られていますし、そもそも法に関して素人ですから、基本的には騙されてしまうわけです。

こんな経験から、私にはJASRACというのが、どうもレーベルのための隠れ蓑のように思えて仕方ありません。
JASRACが悪くないとは言いませんが、レーベルのやっていることにも目を向けていただきたいです。

体験をお話いただきましてありがとうございます。
こういった話を各所で耳にするのですが、こうした指摘がある一方でJASRACばかりが問題視される状況というのはどうだろう?という問題意識は私にもあります。JASRACの不透明さというのが指摘されていはいますが、私はこのような音楽出版社やレーベルとの契約のほうがよっぽど不透明だよなぁと感じています。
コメントいただいた点について、まずレーベルやマネジメント側のスタンスで考えると、新人アーティストの大半は利益を生み出さない、むしろ赤字である、その中でリスクを減らすためには、アーティスト全体にそのリスクを分散させる必要がある、そのため全ての所属アーティストの著作権を譲渡してもらい、成功したアーティストの利益によって、赤の部分を補う必要がある、とも考えられます。新人アーティストといえども、少なからず人がつきますし、売り出すためには労力もお金も必要になります*1。また、マネジメントは全く利益を生み出していないアーティストであっても、活動に専念させるために給料を支払ったりもします。売れるかどうかわからないアーティストの原盤を製作したり、CDをプレスするのも、売れ筋のものと比べると相対的にコストフルなものになるかもしれません。やはり、新人アーティストを売り出す、ということはリスキーなことだといえるでしょう。また、アーティストにとっては、自らの権利を譲渡する見返りに、著作権管理を任せることができる、プロモートしてもらえる、原盤製作のコストを負担してもらえるといったメリットを得ることもできます。
しかし、アーティストのスタンスで考えると、コメントいただいたように、業界慣習だから当然、という思い込みから、アーティストに対する説明が不十分なままに、身勝手な契約を押し付けてくるというのもどうだろうと思うところもあります。マネジメント、レーベルとアーティスト、特に新人アーティストでは、明らかに前者のほうがパワーを保持しています。アーティストを守ろうという業界側の主張を見るにつけ、その業界慣習があまりにもアーティストをないがしろにしていないか、という思いもあります。もちろん、レーベル・マネジメント側の主張にも一理あるのですが、かといってそれを盾にその慣習をごり押ししてるところはないかなぁと。その辺についていろいろ知る必要があるなぁと感じている次第です。
また、Radioheadスタイルのビジネスに対する反発を見ていても、原盤を保持した独占的なビジネスを守りたい、というところもあるのではないかと思っています。ある意味では、アーティストの側が原盤を製作して「おぅ、こいつパブリッシュしてくれねぇか?」と交渉してきても、それはそれで1つの形としてありだとは思うんですが、そういう形をあんまり好ましく思っていない人たちもいるのかなと思うところもあります。EMIの社長なんかがRadioheadの手法を絶賛しているのですが、そういう人物がアーティストサイドからはえらい嫌われているというのも、なんだか不思議な感じですよね。
アーティストとレーベル・音楽出版社との関係というのは、悩ましいところではあります。ただ、事実上レーベル・音楽出版社を介さなければ自らをパブリックに売り出していくという道がほとんど無いという前提の下に、アーティストに譲歩を迫るという状況も、なんか不健全だなぁと思う一方、レーベル・音楽出版社側がリスクを負っている、ということも忘れちゃならんとは思っています。互いにトレードオフの関係にあるからこそ、判断が難しいところではありますが。まぁ、だからこそ、Radioheadの挑戦的なやり方*2Saul Williamsドネーションベースの配信、Creationレーベルの創設者Alan McGeeが仕掛けたCharlatansのXfmとのパートナーシップによる配信*3など、革新的な手法に興味を惹かれちゃうところでもあります。

takkeytakkey 2008/02/26 18:20
ネットワーク配信で楽曲を使っているユーザーです。

音楽に関していえば問題の源はJASRACではなくて、レーベルでしょう。JASRACって単なる料金徴収団体で、著作権業界の中では「憎まれ役の典型」としてうまく使われている。
ただし、運用に問題がないわけではなくて、ユーザーがJASRACと契約すると、サービスごとの最低契約料というのがあり、実際にサービスが動いていなくても費用を払わなければいけないとか。

それからJASRACに権利を預けちゃうとほかの権利処理団体に重複して委託できなくなってしまいます。でもってJASRAC著作権情報のデータベースが更新が遅い上に絶対にJASRACに信託されるはずがない楽曲も乗っけているため、結局誰が管理しているかを調べることができないというのはかなり問題だと感じています。

管理団体が存在しない著作隣接権も含めて、ワンストップできちんと処理できるようになればJASRACもあんまり悪口言われなくなるんでしょうけどね

(まあ逆にそういう状態になったら、権利者はみんなJASRACなんて使わないのでしょうけど)

確かにいい憎まれ役ですね。
データベースに関しては、延び延びになっている権利者データベースに統合され、うまく運用されることを期待したいところですが、現状では(原著者ではない)権利者が活発な著作物の利用を促進したいと積極的には考えていなさそうなので、延び延び、グダグダになっちゃうのかなぁと思うところではあります。独占的に利用できることで上げられる利益もあるのでしょうか。

kamekame 2008/02/26 22:36

いやだからジャスラックやめる、移籍する、ってのが出来ないのが問題なのどはないかと。ミックミクにしてやるよの曲の登録問題でしったが・・・
あと女子十二楽坊の会社が利用料取られすぎで潰れたとか
1500円のDVDで500円取るのはやり過ぎ

もちろん、JASRACへの信託を解除したい、移籍したいというのが、何かしらの要因で阻害されているという部分があるのだとは思うのですが、それはJASRACというよりは、音楽出版社との関係による部分のほうが大きいのではないでしょうか?JASRACの独占体制の問題や著作権等管理事業法施行に伴うJASRACの規約改正などの問題というのであれば、理解できなくも無いですが・・・。
また女子十二楽坊の問題は、2,980円のCDに100分間の音楽DVDを特典としてつけていたために、DVDに400円程度の著作権使用料がかかってしまった問題だと認識しています(それ以外の問題もあるのであれば、教えていただければ幸いです。)。
この辺を問題視するのであれば、まずJASRACの使用料規程を調べる必要があるでしょう。

この62ページ目に計算方法が記されています。収録された楽曲にかかる著作権使用料は1分単位で計算されているようですね。
では、このような著作権使用料の算出方法のどこに問題があるのでしょうか。もちろん、感情としては理解できます。なんで、特典でつけたDVDにそこまで著作権使用料をとられないといけないんだ!というのは私も感情的には同感です。ただ、JASRACに信託された著作物を利用する際には、その規程に準じた使用料を支払わなければいけません。体裁としては特典DVDですが、実際にはCDを買うとDVDがただでついてくるわけではなく、CDとDVDの抱き合わせ販売なんです。だからこそ、公取委は特典DVD付CDは再販品目の対象には含まれない、といっているわけです。
この一件をもって、ビデオグラムに対する音楽著作権使用料のレートが過度に高い、ということも言い切れませんし、そもそも音楽DVDに課される著作権使用料が高いのかどうかということも現状を見てみないとわかりません。この一件だけでビデオグラムに対する音楽著作権料のレートを引き下げるべきだ、というのも、少し極端な意見かと思われます。
ただ、現状での特典DVDの扱いというのを考えると、単体音楽DVDとして販売されているものと同列に扱うのも無理が生じてくるということも理解できます。であれば、それはJASRACを介さない、権利者と利用者*4との間の契約によって対処し得ないのかどうか、ということを考えなければならないでしょう。それをJASRACが許さないというのであれば、現実にマッチしていないという批判もうなずけるところですが・・・。

ikaika 2008/02/27 00:15

とりあえず、JASRACがボリ過ぎているというのはどうなのよ?

何を根拠にボッていると主張されているのかはわかりませんが・・・。とりあえず、算出方法は明確ですが、その使用料の基準の根拠が適正であるのかどうかとか、ブランケット徴収、サンプリング方式による配分とかいう部分に不透明さがあるのは理解しています。JASRACのそうした面まで許容しろ、というお話ではないんです・・・。
ちなみにこうした問題についての、現状解説としては津田さんのお話が興味深いところです。
【Q.4】放送局がJASRACに支払う権利金や、JASRACがアーティストに支払う印税は……【otsuneさんの質問】 (CONTENT'S FUTURE)

nonkenonke 2008/02/27 09:30

結局の所、国からの天下りで無駄に色々ボッてる権利の管理組織が要らないって事でしょ。
ネット上でJASRACが此処まで叩かれてるのは既に様々な所で真相を裏付ける情報が流れている訳で。
民放で天下り問題が放送されていないのは日本の(EUでカルト組織と認定されてる)教団と一緒で色んな所に圧力を掛けてる証拠だし。
まぁ、日本のテレビしか信用しない古い日本人はまだ多いからしょうがないよね。

まさにその「真相を裏付ける情報」が曖昧すぎないか、という議論でもあるんですよね。ただ、JASRACの構造的な問題、天下りの問題が大手メディアで報じられないというのは、確かに同じ船に乗り合わせているわけですから、利害関係が一致しているという点で、状況証拠としては成り立つとは思いますよ。
私個人としては、音楽産業全体をクリティカルに見るという視点に立っていますので、JASRAC問題をクリティカルに見ている人とは異なる視点を持っているのかもしれませんが、私とは異なる視点を持っているといっても、そうした人たちがJASRACのアンフェアな部分をクリティカルに指摘してくれることで、音楽産業自体が健全なものとなっていくのであれば、応援したいところではあります。
余談ですが、指摘された「古い日本人」問題って、結局のところテレビに限らず、情報リテラシーの問題でもあると思うんです。ワイドショーや一部報道なんかが報じる一面的で偏向した切り取られ方をした情報を、盲目的に信じてしまうというところに問題があるのではないでしょうか。その背景には、特に信じない理由は無いとか、そう考えたほうが面白いとか、その情報を精査するリソースを裂くのが億劫だとか、いろいろあるでしょう。そうした問題に対するカウンターとして、インターネットが機能しうるのではないかと思っています。膨大な人が参加し、それぞれにリソースを提供することで、多様かつ膨大な情報量を誇っているわけです。ただ、総体としては多様なものであっても、個々の情報は一面的であり、偏向していることがほとんどです。それは私が発信する情報もそうでしょう。そうした状況にあって、個人が一面的かつ偏向した情報を選択的に摂取し続けるのだとしたら、それはそれでテレビ時代のリテラシーと揶揄されているものとそれほど変わりは無いのだろうなぁと思っています。

いつも思ういつも思う 2008/02/27 17:54

ボッタクリという人は公表されてる数字を見るべき
JASRACの回収手数料は数%。収支報告のPDFもあり、規約なんかも公表されてるのに、それらを一切無視し、誤情報をもとに文句ばかり言ってる人って何なの?


公表数字公表数字 2008/02/27 18:18

>いつも思うさん
JASRACの収支報告(平成18年度事業報告書)みてきたけど、どこをみればよかったんでしょうか?
演奏等における徴収目標額と実績額という、事業の極一部、
しかも漠然とした情報しか公表されていないように見えたけど。

取りあえず、回収手数料以外にも、kameさんの意見におけるものとか、
CD-Rについての二次利用料等、様々な中間搾取がなされていることが私的には問題であると思うんだけど、
その辺の数字まで細かく出た決算報告書、なんてものがあるんでしょうか?
あるなら是非みてみたいのでアドレスを載せてほしい。

気持ちとしてはとてもよく理解できるんですが、漠然とした情報しか公表されていない中で、どうしてそれを中間搾取といえるのか、という疑問があります。
1つの情報だけを見て、こりゃJASRACおかしいよ、というような情報などほとんど存在していないでしょう。もちろん、出したくないから出さない情報も絶対にあるでしょう*5。ただ、そうした情報を出させるためには、複数の情報をつき合わせて、やっぱおかしいよ、と誰もが納得できるところまで昇華させる必要があると考えています。JASRACが公開している各種規程や、漏れ聞こえてくる情報(実際の当事者でなければわからないことも多いですから)、現実の運用などそういった情報をあわせてみないと、やはりおかしな部分というのは明確には見えてこないのではないでしょうか。不透明さがさまざまな問題を生み出しているのではないか、ということは重々承知していますが*6、その指摘が不透明であっては説得力を持たない、と感じています。
また、JASRACの不透明さに対する指摘というのは、本来著作権を信託している人たちにこそあるはずなのですが、それがうまくなされていない、という状況もまた不思議なところです。それがなぜなのかを、印象によってではなく、さまざまな事情を加味して考えることも必要でしょうね。

APIAPI 2008/02/26 18:24

わざわざ返答して頂きありがとうございます。
〜ねはそんなに気にしてませんww他の人が書いてたので悪ノリで書きましたすいませんwww。
それと今回提示したビジネスモデルはヤフーやGyaoが実際にやってますね。

ヤフーサウンドステーションGyaoの音楽チャンネルです。
どちらも広告連動型サービスです。
Gyaoはプロモーションビデオがフルで見れます。
ヤフーサウンドステーションは曲がフルで聴けますし、ヤフー動画の方ではプロモも確か見れました。

どちらも結構たくさんのアーティストの曲を聞けるので使用料はたくさん払ってるのではないかと思うんですが収支的どうなのかはわかりません。
長い事やってるのでとりあえずビジネスモデルとしては確立してるのではないでしょうか。

いえいえ、「傷ついた・・・」というよりは、「やられた・・・」という感じなので、恥ずかしいながらもスターの付き具合なんかが面白かったです*7
Yahoo!Gyaoもがんばってますよね。Yahoo動画のほうは無料コンテンツも充実してますし、そこからかなりの数のユーザが有料利用しているのではないでしょうか。収支としてはわかりませんが、単純に広告料のみでの運営では厳しいのでしょうね。Yahoo!動画Gyaoの他コンテンツ、有料コンテンツへの誘導や、楽曲の販売リンクにつなげて何とか、というところなのかもしれません。
このコメントへの補足としてAPIさんからこんなコメントもいただいてます。

コメント補足:ヤフーやGyaoなどの無料配信がアーティストにとって得なのかは正直疑問なんだけどね。CDの販促に繋がってるのかもしれないけど、使用料ビジネス自体はあまり利益を生まないような気がする。

個人的には、将来的な薄く、広く、そして販促もかねて、という感じになればいいかなぁと思ってます。現状では、それほど利益を生み出すものではないかもしれないですね。

はてブコメントへの回答

再び勝手ながらはてブコメントいただいた方にご返信を。

「JASRACがアーティストから搾取しているという誤謬」のブクマより

b:id:mohno よい記事。↓それでも批判したくて仕方がない人がいるんだね。部分的ではあれイーライセンスのような競合に触れたほうがよかったのかも。

著作権管理事業者についても触れたかったのですが、あまりに長くなってしまったために、かなり端折りました。そのせいで、いらぬ誤解を受けちゃったかもしれないなぁと反省するところではありますが・・・。

b:id:kyoumoe 何を言われてもJASRACが(ユーザーに)一切反論をしてないのが一番怖い。説明とかする気は一切ないんだろうな。そして説明しなくても歯車は回るんだろうな。どこかにお金を貯める装置の歯車が。それがどこかは知らない。

JASRACにとってのお客さんって信託してくれる権利者であり、利用者ってのも信託された著作物を利用してくれる人でしょうからね。消費者の声が届きにくいというのも、何とも嫌な感じではあります。

b:id:masterg jasracでない。レコ社でない。マネージメントでない。「…で、結局どこなのよ?」とたらい回しにされるというオチ。

結局、100%の割合で悪の組織なんて最初から存在しないんじゃないかと思いますよ。どのプレイヤーもそれなりに存在意義はあるのですが、果たしてそれが過度に領分を広げていないか、どこかが犠牲になっていないか、ということをそれぞれに精査していかないといけないとは思っています。

b:id:mrcms 津田氏はこれに反応したのかなるほど。/もっと簡単に書けばいいのに。長文も誤解生む元かと。/オレ粕ラックからお金もらってるよ。すごくありがたいよ。搾取されたなんて思ったことなし(一般的意味では)。

文章力もあいまって、誤解を招いてしまったかなという反省はあります・・・。ただ、あそこまで長くなっちゃったのは、JASRACが背負っているスティグマが強烈すぐる、という感もあってのものだったりします。自分自身、JASRACに対しては色眼鏡で見ちゃいますしね。

b:id:okgwa かなり中立な記事だと思う。「誤謬」と言わず「誤解」で良いような気もするが。

誤解や印象、思い込みによる批判もあるよね、という意味で誤謬という言葉を使いました。最初は、「アーティストから搾取しているのは誰か?」くらい派手なタイトルつけたかったんですが、そもそも本当に搾取されているかなんてわかりませんから、こんなタイトルに落ち着きました。

b:id:simatomoki わかってはいるのですが、機能がすべてじゃないのでは。今日の404的にいえばトポロジーはともかくプロポーションの問題が最悪。

機能面が全てってわけじゃないんです。プロポーションが何を指しているのかは、正確にはわからないのですが、それってトポロジーがプロポーションを制約している状況ではありませんか(違ってたらごめんなさい)?個人的には機能面での議論って一方向だなぁというところもありますので、これを機会にシステムの適正さと、運用の適正さというのを考えてみてほしいなぁと思っています。それと、JASRACの問題を超え、更に広範な音楽産業のシステムとその運用についても考えてほしいなぁという思いもあります。

b:id:himagine_no9 ↓現状、JASRACにしてみればユーザーのこういう反応は痛くも痒くもないんだろうな。むしろここから、JASRACに信託するようになったり、JASRACへ取材していく立場の人間が一人でも多く出てくると脅威になるのかも。

JASRACにして見れば、直接やり取りするのは、信託する権利者とその著作物を利用する人ですからね。現状では片思いなわけですから、振り向かせるにはかなりの努力は必要でしょうね。

b:id:doplxyz 手動でExcelに変換してたけどコメントに数値乗せてるうち意味無いと気づいた。後は誰かよろしゅう。

コメント欄での補足、ありがとうございました。
不透明なのだから中間搾取だという意見に対しては、私も真ん中が抜けているなぁと思うところもあります。その辺つめられればいいと思うのですけどね。

「音楽産業のシステムは複雑だから単純化しちゃいけないのでは? + CD売上の内訳(補足)」のブクマより

b:id:Chaborin 逆に言えば、複雑すぎるので理解できない。全体をおおざっぱにでも網羅していく必要があるだろうな。今書いているような各論に入るのはその後。

実のところ、これでも大雑把な概説なんです・・・。

b:id:xevra 分配の原則ルールが公開されているのは当たり前。問題は実際の運用がどうなっているかに尽きる。具体的な北朝鮮送金率とか裏社会上納率、天下り消化率などの数字が分からないと話しにならない。

まぁ、見ている問題が違うんでしょうね。誤解されている方もいるとは思いますが、私はJASRACはフェアな存在だ言っているわけではありませんし、JASRACを批判するなと言っているわけでもありませんよ。
ただ、「具体的な北朝鮮送金率とか裏社会上納率、天下り消化率などの数字が分からない」ので、お話していないだけです。そのような問題意識があり、その数字をわかってる方がお話されればよいのではないでしょうか。

b:id:mohno 著者の人柄がしのばれる良記事。タイトル「単純化しちゃいけない」は「批判を」ということかな。週刊ダイヤモンド記事はJASRAC勝訴しているので、判決文を見るまで待った方がよい。

純化してはいけないなぁと思うのは、理解、認識、批判をひっくるめてです。その辺の説明が足りませんでしたね。

b:id:shidho コメント欄にあった不満の「CMソングにクラシックばかり使われる」理由が「むしろCMにはJASRACが絡んでないから」だと知るだけでもたぶん話は違ってくると思うんだ。

JASRACが絡んでいない、というのは、クラシック(つまりパブリックドメイン)の楽曲の利用であれば、著作権使用料が発生しない、ということでしょうか(一応、CMでの著作物の利用もJASRACは管理していますから)。個人的には、CMでの楽曲利用は、広告上の戦略であったり、マネジメント、レコード会社のプロモーション戦略におけるプッシュとの兼ね合いのほうが大きいかなと思っています。プッシュが弱くなったのかなとは感じているんですが、実際どうなんでしょうね。著作権使用量の節約のために、パブリックドメインの楽曲を利用する傾向ってのがあれば、教えていただければ幸いです。

b:id:sankaseki 丁寧な回答ありがとうございます。不躾ですがちと提案が、音楽産業に関する「本来あるべき形」と「それと現実の差」を提示して頂けると、id:heatwave_p2p氏の考える問題点を明確に出来るのではないかと考えます。

こちらこそ、コメントありがとうございます。
実際のところ、私自身「本来あるべき形」が具体的にどのようなものかはわからないのです。むしろ、わからないからこそ正しい知識や認識が必要なのかなと思うところではあります。
本来あるべき姿をトップダウン的に考えれば、音楽製作/制作に携わった人にそれぞれ適正な対価が支払われること、ですよね。一方で、現実においてそれが実現されているのかを考えるためには、ボトムアップ的に事実の積み上げをおこなっていかなければなりません。そもそも適正さといっても、その貢献度や負うコストによって変わってくるものですから、それらの点について考えるためにもさまざまな情報が必要だと思っています。ただ、そうした情報が少ないということも認識しています。著作権だけの問題を扱っているわけではありませんが、「P2Pとかその辺のお話」というブログを毎日書き続けているのは、「あまり注目を集めていないけれど、何かを考慮するうえで必要となるピース」の1つ1つを集積したい、という理由からでもあるんです。
そのブログを書き続ける中で、現行の著作権に絡んで、強い不満を持つアーティストが複数いることを知りました。その主張はなかなか説得力を持つものではありましたが、その一方でそのような意見はそれほど一般的に見られるものではありません。これは、一部のアーティストだけが不満を述べているだけで、ほとんどのアーティストは現状に満足しているのでしょうか?それとも、多くのアーティストが不満を感じているにもかかわらず、何がしかの理由があって声を上げることができないだけなのでしょうか?感情的には後者なのでは・・・と思ってしまいますが、かといってそう言い切れるだけの情報もありません。
本来あるべき姿が具体的にどのようなものであればよいのかを知るためにも、現実に問題や摩擦がどこで生じているのかを知るためにも、より多くの情報を知る必要があるのでは?と思っています。それが私の問題意識でしょうか。

気になる発言

コメント欄でも、音楽産業の中を見てきた方の発言がありましたが、それ以外にも音楽産業の有り様を見ている方の発言をご紹介。

よくある典型的なJASRAC批判の中に「金の行き先が不透明」というものがあるけど音楽業界全体で見たら相対的にJASRACの分配は透明な方であって、目に見えるところからそうじゃない細かいところまで不透明どころか「消失」しているケースがたくさんあることをネットの人たちは知るべきだね。

Twitter / 津田大介

とは、アルファtwitterで音楽業界のパブリックエネミーこと津田さんの弁。
こうした生々しいお話は、中にいる人からはなかなか聞けない話なので、その辺を見ている人のお話は興味深い。機会があったら是非ともお話してくだせぇ。

一点だけJASRACを擁護するならば、コンテンツ流通という観点で見たときたとえ現実に即してない悪いルールであっても、そのルールを積極的に「構築」することで、物事が進んでいくという事実はある。一番アレなのは時代に合わせようともしないでルールの構築を牛歩戦術的に拒否する勢力ですよ。

Twitter / 津田大介

この辺はわかるところがあるなぁ。ルールの細かい部分での良し悪しは別としても、大枠で新たな流通経路に適応させるってのは前進だと評価はできるってとこかしら。もちろん、その細かい部分でのルールの良し悪しも考えないといけないんだろうけどさ*8
「一番アレ」な「時代に合わせようともしないでルールの構築を牛歩戦術的に拒否する勢力」にはなかなか批判が集まらないところにやきもきしたりしています。
そして、JASRACの独占体制に対する指摘に対応するコメントとして、

音楽著作権に関していえば独占してる方が状況としては実は良い(流通促進)というメリットと競争相手がいて市場競争起きた方が良いというメリット両方あるんだけど力のない競争相手がいると手続きが煩雑化して状況悪くするデメリットもある。さらに著作権行政の在り方とか複雑な背景あり過ぎるのよね。

Twitter / 津田大介

そうなんですよね・・・。私の主張としては、独占体制が緩和されることで、市場競争の結果として、バランスがより適正なものになるじゃないかと思ってるんだけど*9、そのデメリットとしては、その過渡期(まさしく今現在とこれから)においては、その処理が煩雑なものになるし、ともすればコストフルなものにもなりかねない。極端な例を挙げれば、最初のエントリで述べた音楽出版社がそれぞれに著作権管理を行う状況ってとこでしょうか。
長期的な視点で見れば、確かに競争は必要なのだけれど、かといって短期的な視点で見れば、混乱を生じさせる恐れがあると。いかにして過渡期の混乱を最小限に、よりスムースに移行させることができるのでしょうか・・・。

終わりに

コメントいただいたものに、応えるという形で前回、今回と書いてみましたが、いろいろと考えさせられるところも多かったです。私もかつてはかなりの勢いでJASRACを批判するタイプの人間でしたが、ブログを書き、調べ、いろんな人からのフィードバックをもらうことで、さまざまな考えて至っているわけです*10。なので、JASRACを組織として問題視している方は別にしても、音楽産業の中のJASRACを問題視している方には、是非とももう少し広い範囲の問題にも目を向けてもらえると音楽のためによいことなのかなと思ったりしている次第です。やっぱり音楽好きですからね。そのためのよりよい環境が築ければいいなと思っています。

*1:労力も結局はお金ですが。

*2:Radioheadのすごいところは、単に任意価格での音楽配信を行ったということだけじゃないんですよ!!

*3:ついにシングルの配信が始まったよ!

*4:消費者ではないですよ。

*5:といっても、妥当な理由で公表できない情報もがあるでしょうが

*6:私自身、その点に問題を感じていますから

*7:本当に読みにくいと思った方には申し訳ないなぁと思っちゃいますが・・・

*8:という注釈も入れておかないとうっかり全肯定にとられてしまうというほどのJASRACスティグマに考慮して入れてみました。

*9:もちろん、Aの曲が使いにくいなら、Bの曲でいいや、なんて代価可能性は音楽の場合ほとんどないわけだけれど

*10:いまでも意固地にハンガーストライキは続けてますよー。自分でもばかげてると思ってますけどね。