P2Pファイル共有をカジュアルに可能にする5つのサービス
米国時間3月3日をもって、P2Pファイル共有企業AllPeersはサービスを閉鎖することになったようだ。TechCrunchでも報じられているけれど、ユーザベースの拡大がうまくいかなかったことがその理由にあるらしい。
かつてはFirefoxアドオンとして、ファイル共有が可能となる、ということでかなりの注目を集めたものの、その後のユーザ獲得に失敗したのだろう。
ブラウザ上でのBitTorrentダウンロードは、ますます多様な選択肢が登場し、また、特定少数でのファイル共有のためのツールは数多く登場し、人気を集めている。そうした中で、AllPeersに対する支持や注目が次第に低下していったのかもしれない。
P2P BlogではAllPeersユーザ向けに、そのオルタナティブとなる5つのサービスを紹介している。
where can Allpeers users go next? Here are five suggestions, based on different usage scenarios:
P2P Blog : Five file sharing alternatives to Allpeers
これらのオルタナティブは用途ごとに紹介されており、AllPeersを利用していないユーザでもなかなか興味深いところだろう。
友達とTorrentを交換したいなら:Podmailing
Podmailingは、サーバによるホスティングとTorrentダウンロードが組み合わさったもの、そのため、もしあなたがオンラインでなくとも、ファイルは常にオンラインで利用可能となる。
一応、容量の上限はないのだとか。ファイルの送り手がオンラインで接続していれば、ファイルの受け手はHTTP/BitTorrentのハイブリットダウンロードを行うことができ、より高速にダウンロードすることが可能になるのだろう。
Windoes/Macバージョンが用意されている。
ブラウザでTorrentをダウンロードしたいなら:BitLet
これは完全にJavaによるBitTorrentの実装、つまりインストールを必要としない。ブラウザ上でこのアプリを走らせるだけでOK。
BitLetはブラウザ上で動作するJavaアプレットのBitTorrentクライアント。現在はBitTorrentサイト上にある.torrentを利用して、ブラウザ上でのBitTorrentダウンロードが可能になるというもの。コードジェネレータ機能もあるため、BitTorrentダウンロードリンクを気軽に作成でき、それを友人の教えることで共有が可能となる。また、ブログやサイトを開設している人で、大容量のファイルを配布したい人向けでもある。
BitTorrentとソーシャルな機能を組み合わせたいなら:Tribler
このBitTorrentクライアントは協調フィルタリングをベースにコンテンツをダウンロードする。Last.fmのtorrentバージョンのようなものだ。
TriblerはSNSとBitTorrentサイトが融合したクライアント。公式サイトにもあるように「Tribler: 82% content, 21% social」を目指しているようだ。方向性としては、ファイル共有というよりもビデオ共有を重視しているのかも。ただ、ソーシャルな機能によって、ビデオに限らずファイルのレコメンド機能があったり、友人登録できるなど、SNS的な利用とファイル共有的な利用をうまく結合させようとしているようだ。また、より効率的な転送のための実装を行ったり、EUから巨額の支援を受けたりと今後期待されるクライアントでもある。
Win/Mac/Linuxバージョンがそれぞれ用意されている。
複数の友達とファイルを共有したいなら:Wua.la
このサービスは、バディリスト(友達リスト)スタイルのファイル共有と、暗号化・分散ストレージスキームを組み合わせたもの。
Wualaは分散ストレージといわれているように、クライアントをインストールした個々のユーザが自らのローカルストレージを提供しあい、ネットワーク全体でファイルをストレージするというもの。簡単に言えば、あなたがアップロードしたファイルを、ユーザ全体で分散して保存する、というもの。最初は1GBのオンラインストレージとして利用可能だが、システムに提供するローカルストレージ(つまりは他の人が利用できるスペース)を増やせば更に利用できるオンラインストレージの容量が増える。フレンド登録、グループ登録も可能なので、ローカルなファイル共有にも適しているだろう。ファイルの公開、非公開も選択でき、ファイルを一般に公開することもできる。そうしたファイルは、タグや検索によってサーチすることが可能。
Win/Mac/Linuxバージョンがそれぞれ用意されている。
友達の共有しているファイルを自動的にダウンロードしたいなら:FolderShare
このMicrosoftの所有するP2Pサービスは、Audiogalazyをベースにしており、友達のコンピュータにあらゆる種類のファイルを自動的にブロードキャストすることができる。ファイル共有ネットワークがMP3でそうするように。
FolderShareを簡単に説明するとPC間でのフォルダの同期、共有を可能にするP2Pソフトウェア。自身の使用している2台のPC間のフォルダを同期したり、送り手側、受け手側(親、子)の設定を行うことで、フォルダ単位でファイルの転送が可能となるというもの。導入の手順を含め、ITmedia Biz.IDに詳しく紹介されている。
Windows/Macバージョンが用意されている。
終わりに
こうした機能特化したP2Pファイル共有アプリケーションの可能性というのも興味深いところ。確かにこれまでは、比較的汎用のファイル共有に特化したソフトウェア全盛であったが、こうしたある機能に特化したP2Pファイル共有ソフトウェアが登場したことで、その構図がどのように変化していくのか興味深いところだ。