eMusic:1曲あたり25セント、世界第2位の音楽配信サービス

前々回のエントリへのコメントとして、ダウンロード販売だと流通のコストを大幅に削減できるんじゃ?という意見がちらほら見られた。まさに音楽配信はそういった流通のコストを大幅に削減できるという点で大きなアドバンテージがある…が、前回のエントリで指摘したように、それにはやはり限度がある。
iTSの販売する楽曲が1曲あたりどのように分配されているのか、という点については、何度か目にしているのだけれど、マチマチなところがあるので、なかなかわかっていないところではあるのだけれど*1、少なくともCDという媒体で入手するよりは安価に楽曲を手に入れることができるようにはなっている。多くの人が思っているほどに安価になるわけじゃないけれど、多少は安価に手に入れることが可能となった、ということはいえるだろう*2。それでもその価格は個々のサービスの状況に依存している部分もある。
1曲99セントのiTSですらまだ高いという声もある一方で、AmazonMP3なんかは1曲あたり89〜99セントで提供し*3、その半数以上の楽曲が89セントとなっている。しかもすべてMP3で。
また、ロシアにはAllofmp3やその後継、類似サービスといった激安音楽配信サービスがあったけれど、そういった法的に問題を抱えているところは別としても、合法的に*4、AmazonMP3以上に低価格で楽曲を提供するサービスもある。eMusicという音楽サブスクリプション配信サービスは、最も安いプランで1曲あたり25セント(約26円)で楽曲を配信している。世界第2位*5音楽配信ストアということでそれなりに有名なため、ご存知の方も多いかもしれない。

eMusicの提供するプランは以下のとおり。

eMusic Basic
  • 月額9.99ドル:30曲/月
  • 1曲あたり:33セント
eMusic Plus
  • 月額14.99ドル:50曲/月
  • 1曲あたり:30セント
eMusic Premium
  • 月額19.99ドル:75曲/月
  • 1曲あたり:26セント
eMusic Basic Connoisseur Plan
  • 月額24.99ドル:100曲/月
  • 1曲あたり:25セント
eMusic PPlus Connoisseur Plan
  • 月額49.99ドル:200曲/月
  • 1曲あたり:25セント
eMusic Premium Connoisseur Plan
  • 月額74.99ドル:300曲/月
  • 1曲あたり:25セント

サブスクリプションということもあって、iTSのように気軽に1曲だけ購入する、ということは難しいけれど、価格としてはベーシックプランだとしてもiTSの99セントに比べると非常に安価に抑えられている。
もちろん、カタログはiTSとは全く異なっていて、その大半はインディペンデントのアーティストが占めているのだが、今年の3月に楽曲数としては350万曲を数えるほどにカタログは充実しており、メジャーな楽曲をのみ欲するのでなければ、非常にコストパフォーマンスにすぐれた音楽配信サービスだと言える。
今月には2003年11月のサブスクリプションサービスの開始以降、総配信楽曲数が2億曲を超えたことをアナウンスしており、確かにiTunes Storeの成長に比べるとゆっくりではあるが、徐々にその勢いを増しているともいえる。また、AmazonMP3という一見すると競合とも思えるプレイヤーの参入の後も、eMusicは4000万曲の楽曲配信を行っており、両社は奪い合っているのではなく互いに成長を続けていることを示唆してもいる。
もちろん、安ければいいというわけではないし、価格競争が進み市場として縮小するのでは元も子もない。そもそもメジャーとインディペンデントではかかるコストも収益構造も異なるだろうから、一概にメジャーもこの程度の価格で提供せよ、とまでは言い難い。ただ、多様な選択肢が存在する、多様な価格のモデルが存在するというのは望ましいのではないかなと思える。

実は…

前回のエントリを書く前に、これを書いていたので、内容が重複している部分もあったりする。ただ、こっちのほうがeMusicをプッシュしている感じなので、公開しないのももったいないなぁと思い、大した修正もなくアップしてみました。

*1:時期によって違ってきているのか、それとも伝聞の誤りなのかわからないんです

*2:個人的な良し悪しは別にしても、自分の欲しい曲だけを入手することも可能となったし

*3:アルバムは5.99〜9.99ドル

*4:シロという意味で

*5:当然第1位はiTS