既存のDRMスキームは終わりを迎えるだろう

少し前、RIAAの幹部からこのような発言があったことが話題となった。

 RIAAのテクノロジ部門を率いるDavid Hughes氏は、Digital Hollywoodカンファレンスのパネルディスカッションで、「(最近)音楽の販売方法を22通り書き出してみたが、そのうち20通りはまだDRMを必要としている」と語った。「登録会員向けサービスも制限付きのプレイパービューも広告による提供も、いずれもまだDRMを必要としている。だからDRMは終わっていない」
(中略)
DRMは終わりと考えるのはまだ早い、とHughes氏は言い、DRMが大々的に再浮上するとの見通しを語った。「風向きの変化があると思う。登録会員向けサービスへの動きが起こり、最終的にDRMが盛り返すことになる」
 またHughes氏は、一般の人々から音楽に鍵をかける監視人のようなものと見なされにくくなるよう、DRMは変わらなければならないと述べた。できれば、消費者がDRMにまったく気づかない方式がよいという。「人は必要なときに音楽が欲しいだけだ。問題は利用する権利だ。それが可能ならDRMは気にならない」

RIAA幹部:「DRMの終焉を語るのはまだ早い」- CNET Japan

この記事でも批判されているところではあるが、それは既に当たり前の話であり、ほとんどの人が何をいまさら、と感じたことだろう。
DRMに対する批判の大本は、必要とするときに音楽が利用できない、ということにあったわけで、1つにはユーザ感覚とも剥離、1つにはDRM技術そのものの柔軟性の無さが批判の対象にあった。
つまり、批判されていたのは既存のDRMスキームであり、デジタル著作権管理そのものが批判されていたわけではない/なかったように思える。もちろん、DRMの存在そのものを認めない人もそれなりに存在しているが、少なくとも「購入」以外の選択肢においていわゆるDRMがかけられていることに不満を述べる人はほとんどいないだろう。
先日の、米Napsterがこれまでで最大規模のカタログでのMP3配信ストアを立ち上げるというアナウンスも、既存のDRMスキームの崩壊を意味しているのだろう。
余談ではあるが、米NapsterにはMP3のアラカルト配信だけではなく、既存のサブスクリプションサービスにMP3クレジットを付ける、という形でのサービス展開を期待している。個人的には多少高くともそうした選択肢があるといいなぁと思ってみたり。