ファイル交換ソフトって言い方はそろそろ変えてもいいんじゃないか

という記事を読んで。
内容としては児ポ撲滅のために、日本を含む世界74カ国がICPOと協同してファイル共有ソフトを利用した児ポ動画共有ユーザの一斉摘発を行うというもの。ただ、ちょっと気になる記述があったのでいろいろと突っ込んでみる。

ファイル交換ソフトファイル共有ソフト

ファイル交換ソフトを利用した児童ポルノ動画提供者の一斉摘発に乗り出した。

74か国が児童ポルノ一斉摘発、国内の数人を強制捜査へ : YOMIURI ONLINE

タイトルにも書いたけど、ファイル交換ソフトって言葉にいろいろと違和感を覚えてしまうのだけれど、いい加減ファイル共有ソフトと言い換えたほうがよいのではないだろうか。確かにWinMXの時代であれば、日本の利用形態からすればファイル交換ソフトって感じだったんだけど…(それでもWinMX3.xがグループダウンロード機能を追加したことで共有色は強まったんだけどね*1)。また、世界的に主流となっているのはBitTorrentだし、日本でもWinny、Share、PerfectDarkなどのソフト。ほとんどが「交換」という概念をあてはめるには無理がある。なので、ファイル共有ソフト全般を指して「ファイル交換ソフト」というのは読み手の理解を阻害するんじゃないかと思うのだけれど。
もちろん、何かしらの意図があってこの2つを区別しているのかもしれない。WinMXLimeWire等の他のユーザが可視的なソフトの場合にはファイル交換ソフトWinnyBitTorrent等の他のユーザが不可視的なソフトの場合にはファイル共有ソフト、と言っているなら、まだ理解できるところもある*2

数億人のユーザがいるファイル共有ソフト

捜査関係者によると、今回の捜査対象は、世界中に数億人のユーザーがいるとされるファイル交換ソフトの一つ。

うーん、個人的には数億人単位のアクティブユーザが存在するファイル共有ソフトはないと思うんだけど、実際にはどうなのだろう?おそらく、世界でもっともアクティブに利用されているファイル共有ソフトBitTorrentなのだろうけれど、それだって多くて1億人前後だと思うのだが。
もちろん、この辺は「アクティブ」をどう定義するかにもよるのだけれどね。過去の利用経験を含めてとか、調査時点から1年間さかのぼっての利用をもってアクティブユーザとするのであれば数億に達するかもしれないが…。
ただ、その中でも一番近いであろうものを考えると、LimeWireGnutella)かなと。その理由としては、昨年PC Pitshopが公表した世界規模でのP2Pファイル共有ソフトシェア調査で、世界規模でのインストールレートが最も大きいとされているので、可能性があるとしたらこれかなと。米国、欧州でのインストールレートが17%程度なので、総インターネット人口を11.5億人とすれば全世界で2億人弱。とてつもなくアバウトな計算だけどね。
というわけで、ファイル「交換」ソフト、「数億人のユーザ」という記述から、この読売の記事のブックマークコメントに(ここで言われているファイル共有ソフトは)「BitTorrentLimeWire(Gnutella)だろうなぁ。個人的な予測では後者かな。」と書いたってところです。他にも「共有の意図」を考えても、LimeWireBitTorrentという感じもするし。といっても、あくまでもそんな気がしないでもないと思えなくもないという程度のものなので、実際にはBitTorrentだったということは平気であり得ます。てへ。
最後にもう1点。

「単純所持」と「提供」の間に

日本では法律で個人で集めるだけの「単純所持」は取り締まれないこともあり、ファイル交換ソフトを利用した児童ポルノ提供の摘発は難しい。

この記述がよくわからなかった。"単純所持に対して取り締まりができないために、個人が所有し続けている児童ポルノがファイル共有ネットワーク上に流通するという潜在的可能性が常に存在し、それゆえに摘発をしても児童ポルノの提供が後を絶たない"、というならまだしも、「ファイル交換ソフトを利用した児童ポルノ提供」という事実があるのであれば「摘発」は可能ではないかと思えるのだが。少なくとも、所持しているだけではなく提供をしているのだから。
それとも単純所持の取り締まりが可能になれば、ファイル共有ネットワーク上にて児童ポルノと思しき名前のファイルを共有しているだけで捜査の対象となり、ファイルをダウンロードして確認する必要なく家宅捜索、証拠の押収、検挙という流れが可能になるということなんだろうか。それにしたって、可能な限り証拠を押さえるためにはダウンロードして児童ポルノコンテンツであるかどうかを確認するだろうと思える。
「単純所持」の問題と、P2Pファイル共有における摘発の困難さの問題という独立した問題をあえて混ぜこぜにしているような気もするのだが。

*1:余談ではあるが、このGDL機能はWinMX4.xにて廃止の予定であったがそれを待たずして開発元のFrontCodeが事業から撤退している。

*2:個人的にはそれでも前者も広義の共有だと思うんだけどね。