フランス国民議会、今度はスリーストライク法を可決

フランスで3ストライク法案が揉める中、EU議会が、3ストライクポリシー否定条項を元通り復活させて、この5月6日に通信ディレクティブ案を再び通した。(ZDNetの記事、ecransの記事参照。ストライクポリシー否定条項については第116回参照。)EU議会とフランス政府の間のストライクポリシーを巡る争いもまだ続いている。

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そのEU議会とフランス政府の間のスリーストライクポリシーを巡る争いに新たな展開があった。先月、フランス国民議会がほぼ通過すると思われていたスリーストライク法(HADOPI)をいろいろあって退けたのだが…、再び投票が行われ、今回は何とか通過させることができたようだ。

以下、Intellectual Property Watchの『HADOPI Bill Adopted Tuesday By French Deputies 』という記事(CC BY-BC-ND)より。

The much-disputed French HADOPI legislation on the diffusion and protection of works on the internet was adopted Tuesday by the French National Assembly by a majority of 296 in favour and 233 against. With Tuesday’s passage, alleged copyright infringers now face, among other things, suspension of their internet access while still having to pay for the connection. This vote comes at a time when the European Parliament has underlined its position that any limitation of the fundamental right of access to information be subject to a prior check by a judge. The French Senate is expected to vote on Wednesday and to adopt the text, according to sources. This would constitute permanent adoption by the French Parliament.

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前回はフランス社会党による不意打ちが成功し、反対21、賛成15で否決に漕ぎ着けたものの、今回は賛成296、反対233で法案を通過させた。スリーストライクを支持するサルコジ大統領が所属する中道右派の与党、国民運動連合(UMP)の力を見せつけた、というところだろう。

さて、これによりフランスでのスリーストライク制の施行が秒読みとなったとも言える。上記の記事によれば、水曜にはフランス元老院(上院)での投票が行われることになっており、おそらく通過することになるだろう。これによってフランスはスリーストライク法を採択することになる。

その一方で、冒頭の「無名の一知財政策ウォッチャーの独言」さんの記事にもあるように、欧州議会はスリーストライクポリシーの導入に対して否定的なスタンスを保ち続けている。IP Watchにもあるが、欧州議会は情報へのアクセスを基本的権利と捉え、その制限に際しては裁判官による事前のチェックが必要である、というスタンスを明確にしている。

さぁ、この争いはどうなるのだろうか。