違法P2Pファイル共有ユーザの検挙数が急増中なのをグラフ化してみた

もうだめぽ日記」というブログにて、これまで報道されてきたP2Pファイル共有ソフトに関連した国内ユーザの検挙事例などをアーカイブしている。せっかくケースをアーカイブしているのだから、それをまとめてみるのも良いかなと思いついたので、実行してみた。

ケースの羅列だけでは見えてこない、P2Pファイル共有関連事件の推移なども見れるかなと。ここでは、P2Pファイル共有ソフトを利用したデータの送信行為とそれに直接関連する刑事事件のみを扱うことにする(民事のケースやファイル共有ネットワーク上で入手した情報を利用した犯罪は除く)。報道をもとにデータをおこしたので、漏れなどがあるのはご愛敬。ある程度のパターンなどを読み取ってもらえれば幸い。

これまでの検挙者総数

これまでの検挙者数をみると、児ポ法違反が最も多く、ついで著作権法違反、わいせつ図画陳列となっている。著作権法違反幇助の1名は言わずもがな。

著作権法違反の内訳を見ると、アニメと映画*1が多い。次いでゲーム、ソフトウェア。音楽が少ないなぁと思ってしまったが、RIAJによるWinMXユーザの情報開示や和解などの印象が強いせいかもしれない。テレビ番組はNHKの科学番組、テレビドラマ、韓流ドラマを含めたのだが、多少無理のあるカテゴライズだったかも。文書はかなりイレギュラーはケースなので、詳しくはこちら

児ポ法違反による検挙はここ1、2年で急増しており、半数以上が今年初めの一斉検挙によるもの。これについては後述。

検挙者数の推移

2001年のWinMXユーザ逮捕からおよそ10年ほどの検挙者数の推移を見てみると、2008年から急増していることがよくわかる。

容疑別にみてみると*2著作権法違反、児ポ法違反による検挙の双方が急増している。著作権法違反による検挙者は、昨年後半当たりからほぼ毎月のように出ている。児ポ法違反もコンスタントに検挙者を出しているが、2009年11月2010年1月の一斉検挙にてそれぞれ10名、48名の検挙者を出しており、グラフ上の大幅な伸びはこれらに由来する。

わいせつ図画陳列については、2009年、2010年ともに2名が検挙されているが、元々は児ポ絡みの捜査だったんじゃないかなぁと個人的には思っている。うち1件は、あの「レイプレイ」絡みだけどね。

都道府県警別 検挙件数

P2Pファイル共有関連事件といえば京都府警サイバー犯罪対策室ばかりが活躍してるように思われているが…、まぁ実際にそうなのだけれども、ここ1,2年でそれも徐々に変化しつつあるようで、京都府警以外にもP2Pファイル共有関連事件を扱うところも増えているようだ*3

今年に入ってから15件の摘発があったが、京都府警はうち5件を扱っている。依然として京都府警が多いが、以前に比べればだいぶ比率は下がっているように思える。京都府警は以前から捜査ノウハウを全国の都道府県警に広めようと努力しており、それが成果を上げつつあるのかなと。
府警がネット犯罪で「捜査留学」 根絶へノウハウ伝授 - 毎日jp

もちろん、その成果というのは、京都府警以外の都道府県警が検挙実績をあげるというよりは、P2Pファイル共有関連事案の検挙件数を伸ばすというところにあるのだろうが。

P2Pファイル共有ネットワーク別検挙件数/検挙者数

今のところ、件数としてはShareが最も多いのだが、思った以上にWinnyが少ない。最近だけみても、2009年に1件、2010年は0件とShareに比べるとかなり少ない気がするが…。

Share、Winnyともに著作権法違反容疑での検挙の割合が多いのだが、GnutellaLimeWireCabos)は児ポ法違反容疑での検挙が多い。あとed2k(eMule)もそう。これは海外捜査機関からの捜査依頼とかが影響してるのかな。

余談

今回のエントリはサッカー見ながらまとめちゃったこともあって細かい間違いもあるかもしれない。元にしたデータ*4は公開しておくので、間違いを探して見るなり、眺めてなるほどと思うなり、自分なりにまとめてみるなり、好きに使ってください。このデータ、この記事再配布、再利用ともご自由にどうぞ。

Google Docsスプレッドシート

*1:ちなみに、公開前・公開中の映画公開による検挙者は7名

*2:著作権法違反+児ポ法違反のように、2つの容疑がかけられたケースについては、それぞれ別にカウントした。

*3:ここでは人数ではなく、扱った件数(回数?)でカウント。同時に3名逮捕とかいう場合も1件とカウント。2010年1月の千葉、愛知両県警による児ポ法違反一斉検挙(48名)も1件とした。

*4:ともいいがたいものだけど