ニコ動、ニコ生の諸君、原盤権の切れたレコードをかけてみないか?(ドゥーワップ/ソウル編)

前回に引き続き、著作隣接権(原盤権と実演家の権利)が切れた50年代の音楽のご紹介。今回は、ドゥーワップやゴスペル、R&B〜アーリーソウルを個人的な趣味にもとづいて集めてみました。

Frankie Lymon & The Teenagers / Why Do Fools Fall In Love (1956)

名前は知らないけど聞いたことはある、という人も多いんじゃないだろか。ビーチ・ボーイズダイアナ・ロス山下達郎ら多数のアーティストにカバーされている。フランキー・ライモンは当時、若干13歳。ザ・ティーネイジャーズも平均年齢13〜14歳だったとか。コンセプト的にはジャクソン・ファイブの走りとも言える。

The Platters / Only You (1956)

プラターズは、この「Only You」を皮切りに、「The Great Pretender」(1955)、「My Prayer」(1956)、「Twilight Time」(1958)、「Smoke Gets in Your Eyes」(1958)と立て続けに大ヒットを連発した。ちなみに「Only You」は、1974年、リンゴ・スターがカバーしてヒットしています。でも、John Lennon Anthologyに収められたジョン・レノンバージョンの方が好きだったり。日本では、ビジー・フォーがモノマネ王座決定戦の準決勝辺りでやってたんじゃないかな(適当)。

The Clovers / Love Potion No.9 (1959)

今でも好きではあるんだけど、この歌詞、おもしろソングというよりはマイルドな猥歌だよなぁ。

The Dells / Jo-Jo & Oh What A Night (1956)

デルズの出世作となった「Oh What a Night」。B面の「Jo-Jo」がシュビドゥビ成分たっぷりだったので、2曲続けてのビデオを。

The Coasters / Poison Iny (1959)

おもしろ担当のコースターズは他にも「Searchin'」(1957)、「Charlie Brown」(1959)、「Yakety Yak」(1958)とか、たくさん名曲があるのだけれど、個人的な趣味で「Poison Iny」を。とはいえ、たくさんのアーティストにカバーされた曲でもあるし、ローリング・ストーンズセカンドアルバムとしてリリースされる予定でもあった。予定というか、実際かなりの枚数刷ったとか。なんで中止したんだろ。

The Diamonds / Little Darlin' (1957)

ドゥワップがポップチャートで花開くと、ロックンロールもそうだったように、白人の中にその要素を取り入れる人たちが出てくる。カナダの白人ドゥワップグループ ダイアモンズは、ドゥワップ、R&Bのカバーを重ね、この「Little Darin'」をヒットさせる。黒人文化、白人文化双方の接近による音楽の融合が進みつつある時代でもあったが、同時に、公民権運動が最も盛んな時代でもあった。

堅い話は置いとくとして、70年代のバブルガムバンド ルベッツがでヤーヤー(ファルセット)とドゥワップ、語りをフィーチャーした「Suger Baby Love」をヒットさせたんだけど、「Little Darlin'」はそのプロトタイプみたいな曲よね。

The Chordettes / Lollipop (1958)

バーバーショップスタイルのヴォーカルグループとして、50年代後半にヒット曲を生み出したのがコーデッツ。彼女たちの初のヒット曲「Mr. Sandman」(1954)に比べると、この「Lolipop」はよりコンテンポラリに仕上げられている。

Fats Domino / Ain't That A Shame (1955)

ヴォーカルグループからいきなりファッツ・ドミノってどうなのよ?といわれそうだが、前回紹介しきれなかったんだから、ここらでゴリ押ししとかんとしょうがない。すまぬ。ロックンロールの創始者の一人として知られるピアニスト、「The Big Beat」(1957)、「Blue Monday」(1956)、「Blueberry Hill」(1956)など数多くのヒットを飛ばした。

Larry Williams / Slow Down (1958)


こちらも紹介し損なったロックンロールのパイオニアの一人、ラリー・ウィリアムズ。この「Slow Down」や「Bad Boy」(1959)、「Dizzy Miss Lizzy」(1958)は、ビートルズもカバーしている。他にも、「Short Fat Fannie」(1957)、「Bony Moronie」(1958)「She Said Yeah」(1959)など、お勧めの曲はたくさんあり升。

Ray Charles / This Little Girl Of Mine (1956)

50年代から既に活躍していたレイ・チャールズ。「This Little Girl Of Mine」は元々ノリが良くて好きな曲なんだけど、このビデオではさらにアップテンポになっていて面白かったのでご紹介。この時代にも、自身初のミリオン・ヒットとなった「What'd I say」(1959)などたくさんの名曲を残している。「Hallelujah I Love Her So」(1956)とかかっこえぇです。

Sam Cooke / You Send Me (1957)

50年代は、ロックンロールと共に、ソウルミュージックもまた形作られていった時代。そのパイオニアの一人がサム・クック。もともとゴスペルグループの人気シンガーであったが、この「You Send Me」をヒットさせ、R&Bへと転向。原盤権はまだ切れていないが、「Wonderful World」(1960)、「Chain Gang」(1960)、「A Change Is Gonna Come」(1963)、「Shake」(1964)などの名曲を残す。ソウルを形作ると共に、音楽出版社の設立、公民権運動への参加など先進的な人だったんだなぁと思う。

Jackie Wilson / That's Why (I Love You So) (1958)

サム・クックとならび、人気を集めたのがジャッキー・ウィルソン。個人的には仕草というか表情がぐっさんっぽいと思っている。後にモータウンを設立するベリー・ゴディがソングライティングに関わった「Lonely Teardrops」(1958)のヒットでスターダムに。歌もクール、踊りもクール。今見たら、この踊りは…と思われるかもしれないけど、若きマイケル・ジャクソンがあこがれる程だったとか。しかし60年代に入ってからは、ソウル・ミュージックが展開していくにつれ、低迷していく。とはいえ、1967年には「(Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher」という名曲も残している。

Marv Johnson / Come To Me (1959)

ジャッキー・ウィルソンへの楽曲提供などソングライターとして売れっ子になり、プロデュースも手がけるようになったベリー・ゴディであったが、ヒット曲を生み出しても音楽出版社やらレーベルやらに吸い取られてとにかく金にならなかったらしい。ならば自分でやるしかないと、盟友スモーキー・ロビンソンのアドバイスもあって立ち上げたのが、タムラ/モータウン・レコード。「Come To Me」はその第一弾シングルとしてリリースされ、ヒットした。

ノーザンソウルの雄、モータウンを紹介したなら、サザンソウル、メンフィスソウルの雄、スタックス・レコードも紹介したいところなのだが、オーティス・レディングウィルソン・ピケット、サム&デイブ、Booker T. & the MGsらスタックス勢が本格的に始動するのは、もうちょっと後のこと。

Etta James & the Peaches / The Wallflower (Dance With Me, Henry) (1955)

60年代、チェスレコードで活躍したエタ・ジェイムスの14歳のころの曲。この当時からヒット曲歌ってたというのだからすごいよね。

James Brown & The Famous Flames / Try Me (1958)

1955年に「Please, Please, Please」を大ヒットさせたものの、後に続くヒットを生み出せず低迷していたジェームズ・ブラウン。この「Try Me」は起死回生のヒットとなった。ジェームズ・ブラウンはファンクの帝王として知られているが、そのキャリアと額に脂がのってくるのは60年代中盤くらいから。

ジェームズ・ブラウンの紹介で、第一回ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)受賞者を紹介しきったので、一区切り入れて、自由に選曲してみようかしら。

The Champs / Tequila (1958)

テキーラッ!

Shirley & Lee / Let The Good Times Roll (1956)

シャーリーかわゆす。「I Feel Good」とかもいいよ。

Doris Day / Que Sera Sera (1956)

ケセラーセラー♪

Paul Anka / Diana (1957)

ダイアーナ〜♪

Duane Eddy / Peter Gunn (1959)

ヴェーーヴェー♪

Cab Calloway and the Nicholas Brothers / Jumpin Jive (1943)

この映像は、映画「Stormy Weather」(1943)の一幕。キャブ・キャロウェイ楽団の軽快な演奏と、キャブ・キャロウェイの歌、スキャット、そしてニコラス・ブラザーズの壮絶なタップダンスまで楽しめる、詰め込みすぎじゃないかとすら思えるシーン。キャブ・キャロウェイといえば、映画「ブルース・ブラザース」にも御年73にして出演し、切れのあるスキャットを交えつつ「Minnie The Moocher」(1931)を披露しているので、ご存じの方も少なくないかな。30年代、40年代の音源もリリースされているので気になる方は是非。

Robert Johnson / Sweet Home Chicago (1937)


どう見てもブルースブラザース繋がりです、ありがとうございました。

Billie Holiday & Louis Armstrong / The Blues Are Brewin(1947)

唐突だけど、最後はビリー・ホリデーを。ビリー・ホリデーといえば、メッセージ性も強い「Strange Fruit」(1939)が代表曲なのかもしれないけど、ルイ・アームストロング御大との共演ということで、こちらのビデオをご紹介。

終わりに

いやー、ドゥワップもソウルもそれほど系統的に聞いてきたわけじゃないから、骨が折れた。サンデーソングブックは毎週聞いておくべきだと痛感した。

前回、今回と、割と有名どころを中心に紹介してみたんだけど、まだまだ紹介しきった感は全くないし、ゴスペルやジャズ、カントリーなどなど、全く触れていないジャンルの曲もたくさんある。その辺りに詳しい方、好きな方に是非、紹介してもらいたいなぁと思ったりなんかしちゃったりして。