ファイル共有ソフトCabos、配布中止のお知らせ
LimeWire/Acquisitionベースの国産GnutellaクライアントのCabosが、同ソフトウェアの配布を中止した。
Cabosのネットワークの基盤となるLimeWireとFrostWireのホストキャッシュの停止に伴い誠に勝手ながらCabosソフトウェアの配布を中止させていただく事を決断しました。 ニュース: Cabos ソフトウェアの配布の中止について - - Cabos (カボス) - SourceForge.JP
配布中止の理由として、「LimeWireとFrostWireのホストキャッシュの停止」をあげている。LimeWireは昨年、RIAAとの裁判に敗訴し、差し止め命令を受け、同じくGnutellaクライアントだったFrostWireも、スパム(騙し)ファイル の蔓延を理由にGnutellaのサポートを止め、BitTorrentクライアントとして生まれ変わった。
Cabos配布中止の影響
CODA(コンテンツ海外流通促進機構)が2010年に行った『ファイル共有ソフトの利用に関する調査』では、P2Pファイル共有ソフト現在利用者*1(全体の5.8%)のうち17.9%が主に利用していると回答し、過去利用者(全体で12.9% +現在利用者)も含めた利用経験率は29.9%と、現在利用率、経験率共に高く、Winnyに次いで*2、日本で2番目に人気のP2Pファイル共有ソフトであったと見られている。
(出展:CODA 「ファイル共有ソフトの利用に関する調査報告書(速報版)」)
LimeWireに続き、Cabosが配布を終了したとなると、日本において(少なくともアンケート調査の上では)2番、3番人気のファイル共有ソフトの配布がなくなったことになる。これらのソフトは児童ポルノや商用著作物の違法共有に用いられてきたが、新規ユーザが減少することで、そうした犯罪も減少するかもしれない。
とはいえ、既に膨大な数のユーザが同ソフトウェアを入手しており、また、配布の中止といっても公式の配布が中止されたに過ぎず、探そうとすれば比較的容易に見つかる状況は続くだろう。
余談:Cabosのお話
Cabosといえば、最近は児童ポルノを共有したユーザがしばしば逮捕されていたり、音楽を違法に共有したとして逮捕者が出たり、ユーザの情報開示請求が行われたりしている。
こうした不正なファイル共有を引き起こす一因となっていたのは、デフォルトで『ダウンロードフォルダ=共有(アップロード)フォルダ』という設定にされ、かつユーザがその設定に気づきにくいというCabosの設計にあったと思われる。簡単にいえば、「ウハウハでダウンロードしていたら、いつの間にかそのファイルを自分も公開していた、何を(ry」、なのだが、それに加えてダウンロード先として指定したフォルダの中身まで公開されてしまうというもの。
2009年11月に高木浩光さんがこれを指摘していたが、2010年2月に開発者がこの問題を修正するアップデートを行なった。
Cabos 0.8.2 - 更新履歴 - FileHippo.com
- * Cabos asks whether you have authorized your shared files.
- * Download folder will not be added in shared folders by default.
これが事実上の最終バージョンになったのが唯一の救いか。とはいえ、未だに旧バージョンのCabosを使用し、当初の設定のままのユーザも少なからずいるのかもしれない。