海賊業もカジュアルにできる時代になったのかなぁ
「崖の上のポニョ」の映像ファイルをファイル共有ソフト『Share』を利用して入手し、それをネットオークションで販売していた主婦が著作権法違反の容疑で逮捕されたとのこと。
うーん、主婦かぁ。もちろん、主婦がどうこうというよりは、アウトローではない人までが、海賊業をアルバイト感覚で営むようになったということが、いろいろと考えさせられる。
海賊版DVDが売れるというのは、おそらくは劇場で公開中であり、DVDで販売されていないためということがあるのだろう。こうした劇場公開後に出回る海賊版は、劇場でCAM撮りされた物が多い。また、同様に劇場ですら公開されていないプレリリースの海賊版も需要はあると思われる。こちらの方は、内部関係者から流出する(たとえば批評家の手元から、プレス用に配布したDVDから*1)。
以前であれば、そういった物の入手ルート、販売ルートは専門の海賊業者が握っていたのだが、昨今では非常にカジュアルにその両方を得ることができるともいえる。誰かがCAM撮りしてきたソースを、ファイル共有ネットワーク等を介して入手し、それをDVDに焼き、さらにそれを販売するルートとしてネットオークションがある。専門的な入手ルートも、複製のための高価なディプリケーターも、販売ルートや販売のための人員も全く必要がない。
もちろん、ソースを自前で用意するのは難しいが、大半の映画はいずれファイル共有ネットワークにて入手可能になる。海外の大作映画などは大体そんな感じだ。さらにそうして流通した映画にボランティアで字幕をつける人たちもいる。それが流れるまで、待てば良いだけのこと。
いったんソースを入手すれば、あとはすべて自分だけでできてしまう。DVDに焼いて、ネットオークションに出品するだけでいいのだから。DVDを焼くことも、ネットオークションに出品することも、それぞれは誰にだってできる。
とはいえ…
9月7〜10日、インターネットオークションを利用して岩手県、浜松市、奈良県の男性3人に計1500円で販売した
「ポニョ」を無断複製しネット販売 三重の主婦逮捕 - MSN産経ニュース
労力とリスクに見合っただけの報酬は得られないけれどね。もちろん、ここにあげられているのはごく一部なのだろうけれど*2、それでも大した利益にはなりそうもない。
それに誰にでもできるってことが、誰でもやるってことを意味するわけじゃないしね。
海賊版販売で逮捕されたケースはしばしばACCSで報告されているので、興味のある方は一度読んでみるといいかも。
著作権侵害事件 - ACCS