Winny「原田ウィルス」亜種制作者の大学院生、「著作権侵害」で逮捕

アニメ画像を無断で使ったコンピューターウイルスを作成したなどとして、京都府警ハイテク犯罪対策室と五条署は24日、大阪府泉佐野市の大学院生ら男3人を著作権法違反容疑で逮捕した。また、同容疑で自宅3カ所を家宅捜索した。ウイルス作成者が摘発されたのは日本では初めて。3人は容疑を認めている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008012400309

この事件が面白いのは、この3人はいずれもウィルス制作したこと、配布したことに責任を問われているわけではないということ。ウィルスではなく、このウィルスに含まれる画像の著作権を侵害したことで逮捕となったという。
この大学院生が作成したウィルスは、いわゆる「原田ウィルス」の亜種。元となったウィルスは「原田」という男性の画像が表示され、その後(というかそれと同時に)PC内のファイルを削除するというもの。
この逮捕された大学院生は、おそらくその「原田ウィルス」の画像をアニメ画像に変えただけの亜種を制作したのではないかなと(亜種といっても膨大な数があるので、具体的な亜種名まではちょっとよくわからないが。もしかしたら、画像ではなく映像かも)。このような亜種は制作が容易であり(作成するツールもある)、それに便乗して面白半分でやってみたらこんな結果にというところだろう。
毎日jpによると、この大学院生は昨年10〜11月に原田ウィルスの亜種を作成、不特定多数に配布したとされている。また別の2人もそれをWinny上で配布したと見られている。
にしても、この一件で思い知らされるのは、ウィルス作者をどう取り締まるかという難しさだろうか。京都府警にしてもこうした回りくどいやり方での逮捕を望んでいたわけではないだろうに。その理由としては

 コンピューターウイルスによって、個人情報が流出するなどの被害が広がっているが、ウイルスを作る行為を罰する法律は国内にはない。政府は、ウイルス作成を罰することなどを盛り込んだ刑法改正案を04年、国会に提出した。しかし、制定は先送りされている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080124-OYT1T00328.htm

少なくとも、ウィルスの制作自体を処罰する法律はなく、それが今回のトリッキーな逮捕に繋がったのかと思われる。
うーん、評価は難しいところ・・・。おそらく今回の件は一部で別件逮捕だ!京都府警の横暴だ!と批判を浴びるだろう。もちろん、別件逮捕といった側面もあるだろうとは思うけど、通常の著作権侵害事案ではなく、ウィルスへの対処を優先させたことを評価したいと思うよ。もちろん、そのプロセスに問題が無いわけじゃないんだろうけど、その問題の根底にあるのは、ウィルス制作自体を処罰することのできない現状ってのがあって、そこが一番の問題かなぁと思うわけです。
(追記)
この辺の記事がウィルス作者と刑事責任についての解説としてはよいかと。
コンピュータ・ウイルスの作成や所持などが新たに処罰対象に - IT弁護士の眼/ITpro Watcher

Winnyの技術

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