英国調査:ISPの理論値広告がユーザの誤解を招く

While ISPs advertise ever-increasing broadband speeds, download speeds for users in the UK don't match the claims.

PC World - UK Broadband Users Misled on Speeds

英国ISPは回線速度の増大を宣伝しているが、ユーザのダウンロード速度は言うほど向上していない、という記事。
多くのISPは、回線の広告に理論値を掲げているけれど、実際にはそれには遠く及ばない回線速度を提供している。もちろん、これは多くのインターネットユーザにとって周知の事実ではあるのだけれども、それを知らない人は数多く存在するし、プロバイダからは理論値以上の情報を提供されることはほとんどない。といっても特にADSLのようなサービスでは、その特性上具体的な数値を掲げることは難しいということもあるのだけれど、だからといって理論値を前面に掲げて、品質の悪いサービスをごまかすということもよろしくはない。
Broadband-Expert.co.ukというブロードバンド比較サイトが18,558サンプルのテストの結果を発表し、ISPによってその速度平均値に明らかな差があることを示唆している。たとえば、超高速を謳うあるISPでは、理論値8MbpsのADSLサービスで、実測平均が1.72Mbps、英国平均より1Mbps以上低いという*1。一方で、最もよい成績を収めたISPは、実測平均6.07Mbpsであった。
調査を行ったBroadband-Expert.co.ukテクニカルディレクターのWilliam Harveyは、以下のように述べている。

"Broadband providers can confuse consumers by stating maximum broadband speeds that are often only achieved by a very small percentage of subscribers," Harvey explained.

"Providers should state the average download and upload speeds achieved by their broadband subscribers, this would give consumers a better idea of the sort of speeds they are likely to receive and would encourage providers to deliver better broadband products."

ISPが言うように、あくまでも理論値であるという説明は間違いではないが、誤解や曖昧さを招いたり、ともすれば都合の悪い事実、つまり自社サービスの品質の悪いを覆い隠すことに利用されかねない。Herveyが指摘するように、加入者全体の平均ダウンロード速度、平均アップロード速度を隠すことなく明らかにし、消費者にとって適切なサービスを提供することこそが、(まともな)ISPにとっての利益につながるのではないだろうか。少なくとも、高い品質のサービスを提供するISPこそが人気を集めるのだから。多少高くてもね。

インターネット・サービス・プロバイダの実証分析 (ソシオネットワーク戦略研究叢書)

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*1:調査報告者は「どんなに想像力を豊かにしても、これを超高速とはいえない、とチクリ