Adobe:人気テレビ番組の配信を開始、オンラインビデオ配信市場に進出


Adobe Systems Inc.がテレビ番組配信のパブリックトライアル開始を発表したとReutersが報じている
このテレビ番組配信では、"CSI"や"Survivor"、"Big Brother"といったCBSの人気テレビ番組が、広告付きで無料配信される。この配信はAdobeが提供するAdobe Media Playerから利用できる。

コンテンツプロバイダーとの提携は、このCBSとMTVの親会社でもあるViacom Inc.ともなされており、両者の人気コンテンツを背景に、Adobe Media Playerの普及を促進したいと考えているのだろう。
Adobeのダイナミックメディア戦略部門チーフのMark Randallによると、このテレビ番組配信によって得られた収益はコンテンツプロバイダ、Adobeで分配される。
米国では、コンテンツプロバイダの積極的なインターネットへの進出によって、こうしたサービスプロバイダの動きも活発化してきている。かつてはものすごいサービスだと絶賛されたJoostでさえ、1年と経たずして不満の残るサービスという評価を受けるほどに、この市場の競争が高まりつつある。
そういった点では、AdobeCBSViacomといった人気コンテンツを抱えるプロバイダと提携したということはなるほどと思える。ただ、CBSViacomと提携しているビデオ配信サービスはAdobeだけではなく、一部人気コンテンツをそろえるだけでは競争には勝ち残れないという状況でもある。サービスをブーストさせるには、更に多くの人気コンテンツを集約する、もしくはサービスそのものの品質を向上させ、高いユーザエクスペリエンスを提供する、その両方を実現する必要があるだろう。
ただ、Adobeの場合、既に世界中に多くのユーザベースを持つソフトウェア−Acrobat Reader、FlashShockwave−を保持している。NewTeeVeeによると、そうしたソフトウェアのアップデートにAdobe Media Playerが含まれる場合もあるという。ただ、それは任意の選択が可能であり、密かにインストールされることはないことが確認されている。ただ、こうしたアップデートを基点として、Adobe Media Playerの導入をユーザに促していくという方針であるようだ。こうした点は、既に膨大なユーザベースを持っている企業であればこそのアドバンテージではあるが、そうした戦略がライバルから批判される可能性もありそうだ。

Adobe Media Player

このAdobe Media PlayerはMiroスタイルのビデオ再生プレイヤーであり、ユーザが視聴したいというコンテンツを探したり、そのRSSを利用してダウンロードすることができる。
上述のNewTeeVeeの記事では、このAdobe Media Playerがライブビデオ、P2PDRMをサポートするかどうかをAdobeに質問している。ライブビデオに関しては、RSSを利用したFeedを導入する予定であるとしているが、リアルタイムで開始を通知する仕組みが必要だとしている。また、P2Pによる転送に関しては、現時点ではサポートしていないが、その採用に関しては積極的に模索していくとのこと。DRMに関しては、複数の手段によって、コンテンツオーナーの求めるコンテンツ保護を実現していくとし、DRMのサポートも積極的に行っているようだ。
YouTubeにしろ、Huluにしろ、ストリーミングによってコンテンツを配信するという流れが強い一方で、特に米国においては、依然として低速ブロードバンドを利用しているユーザも多い。そうした層にとっては、Windows Media PlayeriTunesAdobe Media Playerといったクライアントベースでの提供によるオフライン視聴の需要が依然として高いともいえる。さらに、高速回線を持っていても、サーバ側の問題によるバッファリングを嫌う人もいるだろう。そういった意味でも、オフラインで利用可能であることは1つの強みでもあるだろう。
もちろん、コンテンツオーナーの意向によってストリーミングのみでの提供となっているコンテンツもあるのだろうが、可能な限りユーザの選択肢を増やしつつ、より多くのユーザの視聴させるという取り組みもまた必要なものだと思われる。
なお、CBSの提供しているコンテンツは現在のところ、日本でもAdobe Media Playerで視聴可能。以下の画像はCBSが提供しているThe Twilight Zone。

Adobe Media Playerのダウンロードはこちらから。
また、このAdobe Media Playerの更なる詳細については以下のリンクを参照のこと。