暴走か先見の明か:Netflixの戦略がすさまじい件
Netflixはオンライン宅配DVDレンタルサービスの最大手なんだけど、今年に入ってから、オンライン配信に対しての力の入れようがすさまじい。
加入者に視聴無制限のオンラインストリーミングを提供
今年の初め、NetflixはAppleのオンラインビデオレンタルサービス開始に先駆けて、同社のサブスクリプションサービスを利用している加入者に対して、6000タイトル(現在は1万本超)の映画を追加料金なしで、無制限にストリーミング配信する、と発表した。もともと同様の追加料金なしのストリーミング配信をプラン毎に時間制限を設けて提供していたのだけれども、その制限を取り払った、というところ。
ただ、この時点では、こうしたストリーミング配信の出力先はPCのモニタで、まぁなかなか頑張ってるよね、でもそんなに利用されないんじゃ?と思っていたのだけれど、その後の展開が本当に面白い。
99.99ドルSTBを購入して、1万本超の映画がテレビで見放題
5月に入って、NetflixはRoku社のセットトップボックス(STB)を99.99ドルで販売し、それを利用すれば、Netflix加入者はテレビで1万本超の映画が見放題*1という展開を図った。また、このSTBは無線LANでの接続も可能なので、配線にやきもきすることもない。なお、このNetflix-Roku Boxは発売から2週間で完売した。
こうした流れも、Netflix側の当面5年はいけるがその間にピークを迎えるだろう、という予測に基づいてのものと考えられる。
ただ、こうした無料(と思える)配信へ傾倒していくことに対しては、批判と期待が入り混じった主張がなされていたりもする。この辺は、まだ判断しにくいところかもしれない。
Xbox 360向けのストリーミング配信でMSと提携
7月に入って、Netflixはオンラインストリーミング配信に関して、Microsoftとの提携を発表し、今年秋からXBOX360を介して映画のストリーミング配信を行うこととなった*2。これに関しては、以前から噂されていたことでもあり、テレビでの視聴を意識した戦略を考えると既存のゲームコンソール―XBOX 360、Wii、PS3を狙うことも当然のことと思える。少なくともSTBを売り込むよりは、より多くの人にリーチさせることができるし。TechCrunchでも指摘しているように、テレビの周りにおけるボックスの数は限られているわけで(ただ、Netflix−Roku Boxはこれまでに10万台を出荷したとか。ただし、CEOはこれについてノーコメント)。余談だけれども、BBCのiPlayerもWiiブラウザを利用した配信を狙っているし。
PPVでもadサポートでもなく、ウチはサブスクリプション
なかなか面白いなぁと思ったのは、PaidContent.orgの記事で、Netflix CEOのReed Hastingsのコメントが掲載されているんだけど、
“We don’t plan to enter the pay-per-view segment (Apple, Amazon , et. al) or the ad-supported space (Hulu)”. The plan is to focus on subscriptions.
Netflix Call: CEO Hastings: No Plans For PPV Or Ad-Supported Service | paidContent.org
だって。以下のやり取りでも、Amazonとは競合しない、あっちはPPV、ウチはサブスクリプション、どっちも必要だよ、なんてことを言っている。ただ、現時点での同社のオンラインサービスの展開については、評価するには早すぎると慎重な回答をしている。いろいろ事情はあるのかもしれないけど、確かに現時点で成功を確信できる、とまではいかないしね。ただ、トレンドが交差したとしても、動きを取るためのベースには投資できているわけで、過渡期を迎えるまで踏ん張れるか、というところなんでしょうか。
一応、現在は好調のようです。