オノヨーコ・EMI、『フェアユース』に対する著作権侵害訴訟を取り下げる

Expelled: No Intelligence Allowed』という映画の中に、John Lennonの楽曲「imagine」を15秒ほど引用するくだりがある。それに対して、オノ・ヨーコやJohnの息子たちは、無断使用だとして、訴えを起こしていたが、今年6月に連邦第二巡回区連邦控訴裁判所によって、フェアユースであることが認められ、訴えを退けられた。

という記事を以前に書いていたのだけれど、この裁判、これで終わったわけじゃなくて、最高裁までいってたみたい。DigitalMediaWireによると、ニューヨーク最高裁が同映画の上映差し止めの訴えを認めず、原告側の訴えが「フェアユース」の主張を崩せそうにない、としたことで、原告側は訴訟を取り下げることになった。

裁判で弁護人を務めたスタンフォード法科大学院Fair Use ProjectのAnthony Falzoneは

批判のために著作物を利用する権利は、言論の自由および公での議論のためには必要不可欠なものです。それがこの裁判にて危機にさらされていたものです。
私たちは、クライアントが、彼らが実際に行った範囲で『Imagine』のクリップを利用するいかなる権利も、はじめから持ち合わせていたと考えています。その権利を守ることができたのは喜ばしいことです。

Yoko Ono, EMI Withdraw Copyright Suit Against Filmmakers | Digital Media Wire

と述べている。いまだにこの映画を見てはいないが、以前の報道からすると、この映画でImagineのクリップを用いたことは「解説と批評」のためのフェアなものであって、それすら許さないというのでは、著作権の濫用とも思える。金にならないから、というのは理由にならないし*1、ましてやその解説や批評が気に食わないという理由であれば許せるものではない。
そのウェイトがどちらにあったのかという本音の部分はよくわからないが、少なくともこうした利用まで制限されるとあっては、言論・表現の自由の問題にまで発展するものであろう。

*1:損害を生み出すものであれば差し止めもやむを得ないところではあるが、私益を配慮したうえで公益のために権利を制限している部分にまで金をかけろというのなら、度し難いものだと思える。