Adsenseの斜め上の使い方

Adsenseの話を聞くといつも思い出すのは、TorrentFreak.comがTorrent101、TorerntQ、BitRollなどのマルウェアクライアントのサイトに出したAdwords広告のお話。

TorrentFreakは、BitTorrentやファイル共有コミュニティに関するニュースを伝えるブログ。彼らはそのニュースの中で、BitTorrentクライアントを騙ってマルウェアを仕込もうとするTorrent101、TorerntQ、BitRollなどの偽クライアントに騙されないよう警告を発し続けている。

これら偽クライアントのサイトはAdbriteやTargetpointといったコンテクスト広告を利用して、さまざまなBitTorrentサイトに偽クライアントの広告(たとえば、右図のような広告)を出し、そこからユーザを引っかけてはマルウェアを仕込む、という手口を利用していた*1

TorrentFreakチームは、こうしたサイトに誘導されたユーザが、どうやったら偽クライアントをダウンロードし、マルウェアを仕込まれずに済むかを考えた。そして彼らはあることに気づいた。これらマルウェアクライアントのサイト下部にGoogle Adsenseが貼り付けられていることに。

そして彼らは行動した。

これら偽クライアントサイトのAdwordsに参加し、それぞれのクライアントがマルウェアを仕込む悪質なものだ、という警告をAdsense上に表示し、さらにTorrentFreakが以前に書いたマルウェアクライアントの警告記事日本語訳)にリンクさせた。

まさに、マルウェアクライアントがコンテクスト広告を利用してユーザを誘導したのと同じ方法を用いて、誘導されたユーザへの警告を行った、といえる。この警告がどれほど効果があったのかは定かではないが、広告掲載から4日間で20,000回の表示、1,000回以上のクリックがあったという。

まぁ、色々問題はあるのだろうけれど、とりあえず真っ先に感じるのは「痛快だ」ってところかしら?

このお話の詳細は…
詐欺BitTorrentクライアントへの警告にAdsenseを利用 :P2Pとかその辺のお話

*1:なお、その後複数のBitTorrentサイトがこれら偽クライアントの広告排除の方針を明らかにしている