YouTube, me, your music.

YouTubeにアップロードされた、とある音楽ビデオと、それにまつわるメールのやり取りのお話。

とある13歳の少年が、NYのチップチューンバンドAnamanaguchiの曲に出会った。彼は大層気に入り、みんなにも聞いて欲しいと思って、勢いそれをYouTubeにアップロードした。

それから2年、15歳になった少年は、YouTubeで8-bitミュージックを探していた。ふと、その中に、かつて自分がアップロードしたビデオのサムネイルを目にする。アップロードしたことすらすっかり忘れていたAnamanaguchiのビデオ、中でもHelix Nebulaという曲のビデオは既に50万ビューを超える人気のビデオになっていた。彼が投稿した他のビデオも、未だに視聴され続けていた。

この2年の間、少年は著作権について学んだ。そして、過去のアップロードが著作権侵害に当たることも理解した。そこで彼はAnamanaguchiのPeter Berkmanにメールを送った。「自分はこのチャンネル(ビデオ)を削除した方が良いのか?」と。

メールを受け取ったPeter Berkmanはこんな返事を返した。

僕としては、僕らの音楽を愛してくれているのなら、僕らの音楽を自由に共有する権利があると思っているよ :)

チャンネルはそのままで構わない。YouTubeは実に素晴らしいもので、僕も見るのが大好きだし、Helixのビデオについたコメントも楽しんでるんだ。しょっちゅうチェックしてるくらいにね。

ありがとう!
Peter

ANAMANAGUCHI

著作権侵害をしてしまったと過去のアップロードを悔やむなら、問い合わせなどすることなく即座に削除してしまえばいい、という考えもあるかもしれない。

でも、勝手にアップロードしたからといって、勝手に消してしまって良いのだろうか?もちろん、アップロードされたこと、そのビデオがYouTubeに存在していることを望まない人たちもいる。そういう場合は、確かに消した方がいいし、そもそもアップロードもしない方がいい。

しかし、インディペンデント・ミュージシャンのAnamanaguchiにとって、このHelix Nebulaのビデオは、自分たちの存在や曲を広めてくれる有り難い存在なんだと思う。もちろん、未だにこの曲は無料で提供され続けていて、YouTubeで聞かれたとしても、それほどのダメージはない。だからOKというところもあるんだろうけども、それ以上に、一リスナーの勝手アップロードとはいえ、50万超のビュー数、1500超のコメント、4,500超の高評価がつけられた動画は、ソーシャル/バイラルな世界における貴重な財産となる。

チップチューンや8-bitに興味を持った人が、近いうちに出会うであろうビデオ、それはキットバンドにとっての強みになる。もちろん、このビデオほど人気ではなくても、たくさんのビデオがアップロードされていて、それもチップチューンや8-bitを掘り下げていくリスナーたちがいずれ出会うビデオになる。それもまた、それぞれが財産になっているのだろう。

今のご時勢、ファンはエンターテイメントを与えられ、その見返りにお金を渡すという、単なる消費的な存在以上の役割を担い始めている。そういう意味では、このメールのやり取りを公開したことは、バンドにとってもファンにとっても、良いことなのかなと。

余談

私自身、Anamanaguchiのファンなので、このやり取りを見てなんだかうれしくなった。上記のビデオを聞いて気に入った方は、彼らの音楽を掘り下げてみてはいかがでしょう?




Jamendo:30万曲の音楽を持ち歩こう

30万曲を超えるクリエイティブ・コモンズ・ミュージックを配信するJamendoが、BlackBerry用モバイルアプリをリリースし、iPhoneアプリをアップデート(マルチタスク対応)したことで、スマートフォン向けアプリをプッシュしているよ、というお話。

多くの人がスマートフォンを所有するこの時代、Jamendoは3つの主要モバイルOS向けに、広告なしのモバイルアプリを提供します。Jamendoアプリは、Lsat.fmやSpotifyのような他の音楽サービスとは違い、無料でサブスクリプションも不要。いずれのJamendoアプリでも、Jamendoの持つ30万を超えるフリーな楽曲カタログに直接アクセス、ストリーミングできます。Jamendoアプリでは、ジャンルごとの音楽ブラウズ、最新の楽曲のディスカバリーJamendoのトップランキングへのアクセスも可能。お気に入りのアーティストや楽曲でプレイリストを作ったり、それを聴くこともできちゃいます。

Jamendo for BlackBerry

JamendoはついにBlackBerry用モバイルアプリをリリースしました。開発はポーランドのTeleca Poland。このアプリはBlackBerry App Worldよりダウンロードできます。

Jamendo for iPhone

iPhoneJamendoアプリは、バージョンアップしてマルチタスクにも対応しました。他のアプリを使用中にも、ウェブサーフィン中にも、メールチェック中にも、iPhoneJamendoミュージックを楽しむことができます。このJamendoアプリver1.5は
App Storeよりダウンロードできます。

Jamendo for Android

2009年、Teleca Polandは無料のAndroid向けJamendoモバイルアプリをリリースし、それ以降もアップデートが続けられています。このアプリはAndroid Marketよりダウンロードできます。

300,000 Free Tracks in Your Pocket! | Jamendo Blog

私自身はスマホユーザではなくガラケーちゃんを使っているので、外で楽しむという使い方はしていないのだけれども、iPod Touch(第1世代)にJamendoアプリをインストールして、読書の傍ら垂れ流しで聞いている。新しい曲との出会いだけではなく、以前にダウンロードしたはいいものの最近とんと聞いていなかった曲を聞き直す機会にもなったりして、すごく重宝している。

あなたのスマートフォンにもJamendoアイコンをおいてみてはいかがでしょう?

新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミングサービス その2

先日の「新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミングサービス8+選」というエントリでは、いろんな音楽ストリーミングサービスを紹介したんだけど、意図的に作ったリストだったりして、紹介しきれないものもあった。ということで、改めてここで紹介をば。また、これもリストに入ってた方がいいだというツッコミもいくつかいただけたので、そちらもあわせて。

Jango

Jangoは、ジャンルごとのプリセットチャンネルや、カスタマイズが可能なユーザ生成チャンネルが楽しめるネットラジオ(via @superuncomanさん)。これは先のエントリで紹介しておけば良かったんだけど、すっかり忘れてた…。

ユーザ生成チャンネルでは、Pandoraのようにアーティスト名を入力すると、そのテイストに近い曲が流れる。生成したチャンネルはカスタマイズが可能で、テイストが近いアーティストの中でもどのアーティストを多く流すか、流すアーティスト/曲のバラエティをどのくらい広げるかを設定することができる。

新たな出会いを求めるのであれば、Songs、Artist共に「Wide Variety」に設定するとよさげ。プレイヤーのSimilarタブからも似たテイストのアーティストを探したりできる。

iPhoneアプリAndroidアプリもあり。

AOL Radio

AOL Radioは、2001年より続く老舗のネットラジオ*1(via @superuncomanさん)。2008年にCBSと提携し、割と大々的にリニューアルした。

チャンネルもジャンルごとにあるだけではなく、サブジャンルもそこそこ揃っているし、「Best of 70's」のようなチャンネルがあるのもいい。気に入ったチャンネルはプリセットに登録すると、以後アクセスが容易に。

ソーシャルな側面としては、last.fmのScrobblingに対応してたり、facebookTwitterと連携して今聞いているチャンネルを流すことができたりとか。あまりこの辺には熱心ではない印象。

iPhone/iPadアプリ、Androidアプリもある。

AOL Radioは去年の2月、国外からアクセスできなくなるとのアナウンスを出していたのだが、今は普通にアクセスできている。何か変わったのかしら。

Last.fm

もはや説明の必要もないかもしれないけれども、リスナーの音楽的志向に合わせて選曲を行ってくれるネットラジオ&音楽SNS。さまざまなネットラジオ、音楽ストリーミングサービス、ローカル環境での再生履歴などを収集・蓄積し、それをもとにパーソナライズされたプレイリストが生成される。

Recommended Radio
過去の選曲履歴より、各リスナーへのお勧め曲が自動選曲される。リスナーの趣向に近いもの・遠いもののレベル設定も可能。
Neighbour Radio
過去の選曲履歴より、各リスナーの趣向に似た曲が選曲される。
Grobal Tag Radio
タグの選択により、タグ付けられたアーティスト/曲が選曲される。特定のアーティストを指定した場合、そのアーティストおよび、そのアーティストと趣向の似た曲が選曲される。

Last.FMとは - はてなキーワード

ネットラジオ機能は日本で利用するためには月額3ドルかかる。その頃のゴタゴタがあって以降はほとんど使っていないけども、月額3ドルはサービス内容を加味しても高くはないと思う。

we7

we7は英国の音楽ストリーミングサイト。国外からのアクセス&無料アカウントでは一部機能(オンデマンド再生など)が制限されるものの、ラジオ機能はばっちり使える。Radio Station(チャンネル)は、アーティスト名やジャンル名をベースにして、似たテイストの曲を流し続けてくれる。

プレイリスト等は、ネットラジオ型(非インタラクティブ)ではなくオンデマンド型(インタラクティブ)なので、ほとんどの場合30秒程度のプレビュー版が流れる。オンデマンド再生は有料ユーザ向けのサービスになる。ただし、オンデマンドでは30秒程度のプレビュー版(鍵のアイコンがついている曲)でも、ラジオでかかった場合はフルで流れます。

また、再生中のアーティストの詳細もクリック1つでいろいろアクセスできちゃうのも○。上部プレイヤーのTシャツアイコンからはグッズ販売、音符アイコンからは歌詞、チケットアイコンからはライブ情報にアクセスできる。

他にも、楽曲リストやアルバムカタログ、似たテイストのラジオ/アーティストなどなど。グッズやライブ情報なんてのはいいね。

8tracks

8tracksは、ユーザが楽曲ファイルをアップロードし、8曲以上のプレイリスト(ミックステープ)を作成、公開できるネットラジオ(via Jajajaさん)。Muxtapeのサービス停止後、ポストMuxtapeとして人気を集めている。一応、ネットラジオと言うことで、オンデマンド再生は不可、1つのプレイリストにつき同一アーティストの曲は2曲まで、プレイリストにどんな曲が入っているか再生するまで*2わからない、等々の制限がある。

ミックステープの探し方は、お気に入りのアーティストで検索、タグから絞り込み(複数タグを選択できる)、お気に入りのユーザをフォローする、などなど。特定ジャンルのディープなファンをフォローできれば、たくさんの掘り出しものを探し当てることができるかも。

気に入ったミックステープや楽曲は、お気に入りに登録することができる*3。って言うか、お気に入りをつけた楽曲、Favorite Tracksからオンデマンド再生できちゃうんだけどいいのかしら。

Live365

Live365はユーザがネットラジオを作り、公開できるサイト(via @mohnoさん)。ネットラジオの作成は有料だが、楽曲使用料はLive365が支払ってくれる。聞くだけなら無料、広告なしで楽しみたい場合には月額5.95〜ドル。

基本的には、音楽ジャンルからネットラジオ局を絞り込んでいく感じかな。各ジャンルにはサブジャンルが設定されているのがナイス。お気に入りのラジオ局を探すまでに、ちょっと時間がかるかも。ただ、それを探すのも楽しそうではある。

blip.fm

8tracksがお手製ミックステープのお披露目なら、blip.fmTwitter風のDJ体験を提供する音楽ミニブログTwitterにTweetしてタイムラインを形作っていくように、自分の聴きたい、聴かせたい曲を検索し、コメントをつけてblipして、自分の選曲タイムラインを作っていく。Twitterよろしく互いにフォローし合い、その選曲を楽しんだり、reblipしたり、返信blipしたり。

パブリックblipタイムラインでTagTuner機能を利用して、特定ジャンル、特定アーティストのタイムラインを再生することもできる。ただ、特定アーティストだと同じ曲が何度も続いたりすることも。やはりDJ的な楽しみ方にフィットしてるのかな。

楽曲のソースは、YouTube等いろいろ。

その他

ニコニコ動画

@madarameさんは、ニコニコ動画をオススメ。VOCALOID作品をはじめ多数の音楽動画が投稿され、新しい音楽の開拓にも使えるのだが、垂れ流しという点では、ランキング動画のプレイリストを連続再生くらいしか思いつかない。この辺りは、ニコ動プレイリスト共有サイトとかあったら、面白いのかも。既にあるかな?

Yahoo! Music Radio

AOL Radioと同じくCBSと提携し、radio.comパワードで運営されているネットラジオ。以前のLaunchcastをたたみ、ネットラジオサービスをCBSアウトソーシング、といったところなので、AOL Radioを聞いておけばいいんじゃね、という。

*1:ベースになったSpinner.com(現在はAOLの音楽ニュースサイト)の時代を入れると世紀を跨いだネットラジオと言えるかも。

*2:次の曲も

*3:要ログイン

世界のレコード産業:2010年も進むCD離れ デジタルも伸び悩み

IFPI(国際レコード産業連盟)が、年次レポート『Recording Industry in Numbers 2011』を公表した。世界のレコード産業、マーケットの2010年を振り返るレポートだけに、非常に興味深くもあるのだが、お値段750ユーロもするのでさすがに手がでない。ということで、このレポートについて報じたニュース記事などを参考にして、2010年のレコード産業をざっくりと俯瞰してみるよ。

と、本題に入る前に気になったのがこの表紙。デコボコの球体の上のロゴはみんな、音楽配信/ストリーミング/ネットラジオだね。何となくわかっただけでも、Spotify Rhapsody MOG RdioeMusic 7digitalwe7bandit.fmWIMPなどなど。

Global Recorded Music Sales 1997-2010

やはり2010年もphysical、CDセールスの下落傾向が続いた。

  • 2010年、世界のレコード産業trade revenuesは前年比8.3%減の159億ドル。
  • physical salesは前年比14.2%減。2007年の13.4%減、2008年の13.8%減、2009年の11%減とダダ下がりが続く。2006年と比較すると43%減。
  • digital salesは前年比5.3%増。2009年の11.7%増、2008年の37.2%増に比べると成長は鈍化。2006年と比較すると116%増。
  • performance rightsは3,800万ドル増(4.6%)の8億5100万ドル。報告、徴収基盤等の整備により、さらに成長する分野となる可能性も。

各国のレコードセールス

比較的安定したかのように2009年から一転、2010年はレコード市場がぐらつき始めた。

  • 米国:2009年の10.7%減に続き、2010年も10.0%減。physical/digital比は共に49%。digital salesは1.2%増、伸び悩み?mobileの『急落』が響いたのだとか。
  • 英国:2009年の1.9%増から、2010年は11.0%減。2009年には世界第三位だった英国、2010年は米国、日本、ドイツに次ぐ第四位に。
  • フランス:2009年の2.4%減から、2010年は5.1%減。
  • ノルウェーSpotifyやWiMP等合法デジタルサービスがあるも、2009年のの0.7%の微減から、2010年は7.5%減。
  • スウェーデンSpotifyのホームで、海賊版対策法(IPRED)が2009年4月に施行されたスウェーデンでは、2009年の11.9%増の後、2010年は7.1%減。
  • オーストラリア:2009年4.3%増の後、2010年12.4%減。

その他、Billboard.bizの記事で気になった辺りを。

現時点で比較的CDセールスを堅持しているということは、失うものがあるということでもある。たとえばドイツでは、フィジカルセールスの「反発」が歓迎されているが、フィジカルからデジタルへの流れは不可避である。いずれ転落する日が来る。

とはいえ米国を見るに、digitalの成長率が1.2%にまで落ちる一方、physicalは-10%程度の落ち込み。digital 対 physicalが半々になったと言っても、physicalの落ち込みによるところが大きい。これが米国にユニークな現象なのか、それとも他の国に撮っての未来予想図なのかはわからないのだけれども。

アンチパイラシー法を施行した韓国、2009年の10.4%増に続き、2010年も11.7%増。韓国はphysical 45%に対し、digital 55%。韓国アンチパイラシー法施行後のポジティブな変化は、IFPIレポートでも強調された。アンチパイラシー法導入の検討にあたって一考の価値がある結果だろう。

いわゆる韓国版スリーストライク法の施行後、音楽セールスが上向いたという韓国。これは興味深い。もちろん、スウェーデンのIPREDのように、施行から半年程度で効果が薄れてしまったケースもあり、単純にアンチパイラシー法の施行による単一の効果とは断定できない。たとえば、サービス/ユーザへの取締りの強化やサービス/ペイメント等の質の向上、さらに韓国のdigital優位の状況も作用したかもしれない。さまざまな要因を踏まえなければならないだろうが、考慮する価値のある結果なのかもしれない(とはいえ、個人的にはネット切断には反対、ノーティス&ノーティスと取締りの強化で対応すべきだと思う)。

もう1つ、paidContent:UK)によると、IFPIは聞き放題サブスクリプションサービスなどの新たなリテイル・モデルが、音楽産業の再成長を促しうると期待、そのようなサービスとして、全世界に1,000万人以上のユーザを抱えるいわゆるクラウド型の音楽ストリーミングサービスSpotify、 Rhapsodyを挙げている。

Spotifyは、米国には未進出ながらも、欧州で1,000万人以上のユーザを抱え、プレミアムユーザも100万人を突破している。一方のRhapsodyは米国で成長を続け、無料アカウントはないながらも有料ユーザが75万人を突破している。

こうしたクラウド型音楽サブスクリプションサービスにどの程度の期待をかけているのかは少しはかりかねるけれども、今伸び盛りの期待の領域をレポートに載せるのはお約束なところもある。特に全体として縮小傾向が続いているので、少しでも明るいネタを載せておきたい、と。moblieではスマートフォンへの移行も進み、Ringtonesが終わりに向かっているのもあって*1、moblieの「A new hope」みたいなかたちで載せているのかもね。

余談

実際にこのレポートをご覧になった方、感想や気になった点などなど聞かせてもらえれば幸いです。

新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミングサービス8+選

いろいろと思うところがあって、新しい音楽を開拓&垂れ流しにできるオススメ or 人気の音楽ストリーミングサービスを紹介したいと思う。

Jamendo

Jamendoは、世界最大のクリエイティブ・コモンズ・ミュージックサイト。現在配信中のアルバムは4万6千枚を数え、30万曲超のCCミュージックを提供している。Jamendo自身も、おすすめの曲のJamendoラジオストリーミングを行っているが、Chrome拡張のJamendo Radioを導入するとさらにカスタマイズされたラジオチャンネルの作成が可能になる。こうなると、ブラウザを立ち上げている間中、好きなジャンルの音楽をかけっぱなしに出来てしまう。

また、Chromeユーザ以外の方には、Jamendo APIを利用したJamendo HTML5 Audio Playerがおすすめ。こちらは、タグをクリックすると自動的にそのジャンルの楽曲のプレイリストを作成して流してくれる。

楽曲のソースは、いずれもアーティスト自身がJamendoにアップロードした音源を利用している。

radiko

radikoは言わずと知れた日本のIPサイマルラジオ。残念ながら関東、関西の一部地域でしか利用できないが、4月11日まで関東局は全国に開放されている。

ラジオといえば、歴史的に音楽をフィーチャーしてきたし、日本でも海外でも程度の差はあれ、それは変わらない。ホットな曲なんかは割とビジネスが絡んできそうな感もあるけれども、流行を捉えつつ、流行にとらわれ過ぎない、そんな番組もたくさんある。個人的にはInterFMがおすすめ。

公式でウィジェットやモバイルアプリ(Android/iPhone)を提供しているほか、より便利に使用するためのツールもたくさんある。

soundtrckr

soundtrckrはPandoraライクなネットラジオ。お気に入りのアーティストの名前を入力すると、似たテイストのプレイリスト(station)を自動生成してくれる。精度に関しては、有名どころだとそこそこいい感じ、インディペンデントだと随分幅広いな…、という印象。Last.fmからデータ拾ってきてるのかな。ちなみに、日本語にはほとんど対応していない。

iPhoneアプリもリリースしていて、AppStoreのTwitterアカウントで「もしPandoraとFacebookに子供がいたら、それはsoundtrckrなのかもしれない」とコメントされている。ソーシャルな機能はとんと使っていないのでわからないのだけれども、Facebookを経由して友人同士でフォローし合い、プレイリストを共有する感じなのかな。

Mashableは「Pandora + Rdio = Soundtrckr」というタイトルで紹介。Rdioのようにソーシャルをウリにしていて、アプリ内でのチャット、FacebookTwitterFoursquareを介した音楽共有が可能なのだとか*1

モバイルアプリは、iPhone/iPod TouchWindows Phone 7Nokia Oviに対応。Androidアプリの開発も現在進行中とか。Chrome Web Storeにも。

楽曲のソースは不明だけれども、Mashableによれば1,000万曲をリストしている。ネットラジオ然としていることを考えると、Pandoraよろしくライセンス周りはきちっとやってるのかな。

Shuffler.fm

Shuffler.fmは、MP3ブログなどにおかれた音源を集約し、100超のジャンルごとにプレイリストを生成、ストリーミングしてくれるサイト。

再生を開始すると、ブラウザ上部にツールバーが表示され、楽曲がアップロードされたMP3ブログを巡りつつ、楽曲を再生する。気に入った楽曲、気になったMP3ブログはツールバーからブックマークも可。

リストされたMP3ブログは、ただやみくもにネット中から集められているわけではなく、MP3ブロガーの自薦、ユーザの他薦に基づき、Shufflerが選別している。さらにいえば、MP3ブロガー自身も投稿する楽曲は「これぞオススメ」というものばかり。そういう意味では良い出会いが期待できそうだ。個人的な印象としては、インディ系の楽曲が多かった気がする。楽曲のジャンル分けはLast.fmAPIを利用している。

楽曲のソースはMP3ブログってことで、勝手アップロードが多そうだね。

The Hype Machine

The Hype Machineは、世界中のMP3ブログに投稿された楽曲を集約し、ウェブ上での話題性に基づいてリストしているサイト。Song Chart、Artist Chartの他に、Twitter Chartがあるのもユニーク。また、MP3ブログやアーティストごとに購読することもできる。

Twitterアカウントを利用して、Hype Machineフレンドを見つけ、ヒストリーを共有したり、TwitterFacebook経由で曲をオススメすることもできる。世界各国のThe Hype Machineユーザが今どんな曲を聴いているのかがわかる「Spy on Hype Machine users」もなかなか面白い。聞きたい曲名、アーティスト名で検索をかけて、プレイリストを生成することも出来る。日本語は不可。

楽曲のソースは、Shuffler同様MP3ブログなので、こちらも勝手にアップロードされているものが多そうだ。

TUBEiFY

TUBEiFYは今回紹介する中では最も極悪なサイトの1つ。YouTubeから音源を引っ張ってくるのは割とありがちなんだけど、極悪なのはLast.fm APIを駆使しつつ、ブラウザ上にSpotify風の何かを再現してしまったその機能性。

アクセスすると、まずPopular in Japanのリストが表示され、日本(のLast.fm)でホットな楽曲を一通り聴くことが出来る。リスト上のアーティスト名をクリック、または上部の検索欄にアーティスト名を入力すると、そのアーティストの楽曲一覧が表示される。さらに、リスト上部に表示される"Similar artist"一覧から似たテイストのアーティストを掘り下げていくことも出来る。また、"Albums"ごとに再生リストを作ることもでき、YouTubeにそれぞれの楽曲があれば、全曲通して聞くことが出来る。

タイムトラベルというユニークな機能もある。Billboard APIを利用し、現在から1960年代後半にまでさかのぼって、各週のBillboard Hot 100、Billboard Radio、Billboard Pop Top 40のそれぞれのプレイリストを生成してくれる。

YouTubeソースから探してくるということもあって、若干変なのがかかることもあるが、おおむね良好な感じ。別のビデオを探したければ、"Select video"から適当なものを選ぶといい。ソーシャルな機能としては、FacebookTwitterにTUBEiFYリンクを流すことが出来る。

楽曲のソースはYouTubeのビデオなので、大多数が違法にアップロードされたものかと。

利用には招待とGoogle or Facebookのアカウントが必要。招待って言っても、インビテーションリンク経由で行けばいいだけっぽいので、試してみたい方は、以下の記事中のリンクからどうぞ。

君のラジオ

同じYouTube x Last.fmマッシュアップでも、TUBEiFYがSpotifyにインスパイアされたなら、君のラジオはRdioにインスパイアされたという感じ。

サイト上で曲名・アーティスト名で検索をかけてヒットしたYouTubeのビデオからプレイリストを作成する、というのはそれほど目新しいものではないけれども、Twitterアカウントを利用して、ユーザ間で再生ログを共有できる。

共有できるとは言っても、閲覧して手動でプレイリストに追加しなくてはいけないので、その辺りの使い勝手はいまいち。一括で登録できればいいんだけどね。あとはユーザ間でプレイリストを共有できない、うっかり操作ミスでクリックしちゃったものもパブリックタイムラインに表示されてしまうなども、ちょっと気になった。

楽曲のソースはYouTubeのビデオなので、やはり違法にアップロードされたものが多そう。ユーザの再生タイムラインを見ても、そういうのが多かった。

Grooveshark

Groovesharkは、iTunes風な音楽共有ストリーミングサイト。たぶん、これが一番極悪かなぁと。米Lifehackerの読者投票によるBest Music Streaming Servicesでは第1位に輝いている。

基本的な使い方としては、(Radio)Stationから好みの音楽ジャンルのプレイリストを自動生成したり、アーティスト、曲名、アルバム名等で検索して再生リストを作成したり。前者は再生された曲への評価(ポジorネガ)によって、よりユーザ好みのものになっていく…とか。日本語検索も可能。また、Grooveshark内でのユーザ間再生リスト共有、プレイリスト共有機能もあり、自分のプレイリストに全曲または選択して追加することもできる。

Facebookに再生履歴を残したり、プレイリストをFacebookTwitterで共有したり、ブログ等にプレーヤー・ウィジェットを貼り付けることも可。

楽曲のソースは、ユーザがアップロードしGroovesharkのサーバーにため込まれたもので、600万曲を越すという。YouTubeやBaiduみたいなものだね。その甲斐あってか、レーベルから訴えられてもいる。英EMIとは2009年に和解に至りロイヤルティを支払っているとのことだが、2010年2月にはUniversalから著作権侵害だとして訴えられている*2。Universalからの働きかけにより、2010年8月にはiPhoneアプリApp Storeから追放、ほんの数日前にはAndroidアプリがAndroid Marketから追放されている。現在は、ジェイルブレイカー向けのiPhoneアプリを提供している。

終わりに

今回は「新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる」音楽ストリーミングサービスの中から、私がオススメしたいものと、人気のものを集めて紹介してみた。こうしてみると、Jamendoradiko、soundtrckr以外は、MP3ブログであれ、YouTubeであれ、違法にアップロードされた音源を多く含んでる。最近だと「君のラジオ」が偉い絶賛されてたりするけれども、パブリックタイムラインなどからその使われ方を見てみると、違法にアップロードされたソースを参照していることが多い。

しかしその一方で、近年P2Pファイル共有やMegaupload等オンラインストレージ、マジコン、Baiduライブラリに内包される著作権侵害問題については、ユーザ側の遵法的、道徳的な意識が高まっているようにも思える。

この乖離は実に興味深い。音楽というものの扱いの軽さゆえなのか、それともいくつかのクッションを経て違法コピー・ロンダリングがなされているのか。いずれにせよ、書籍やゲーム、アニメ/映画等の映像コンテンツで同様の仕組みを構築すれば、批判は避けられないようなサービスでも、音楽であれば何となく「便利だ」「面白い」と許されてしまうのかもしれない。まぁ、そういう気軽さ、自由さが、レコードの大衆消費型のビジネスを押し上げてきた部分もあるとは思う。

もちろん、YouTubeの場合、メジャーなミュージシャンであっても正規にアップロードされているコンテンツもあるし、不正にアップロードされたものでも事後的に許諾されているものもある。が、そういうものばかりでないことは、ほとんどの人が承知しているだろう。

便利さ、おもしろさが重要なことは確か、でも、そこで楽しめるコンテンツがどういう経路であなたに届いているのかを理解した上で利用することも大事なこと。違法でなければOKという考え方もある。でも個人的には、抜け道をガイドしてくれるサービスよりも、正規のサービスを伸ばすべきフェーズに差し掛かっているんじゃないかなって思っている。

と同時に、なぜこのような抜け道的なサービスが人気を集めるのかってことを、考えるべき人に考えて欲しいなぁとも思う。タダだから、なんて単純な答えを出すのではなくてね。

追記:今回紹介しきれなかった「新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミング」を紹介してみました。

余談:次点

Bandcamp

Bandcampは、ミュージシャンやレーベル自身によってアップロードされた楽曲を配信するサイト。垂れ流しには向いていないんだけども、全曲フルで試聴出来るので、お気に入りの音楽ジャンルのタグでブックマークして、聞きたいときに適当に選んで再生する、なんてやり方もアリ。その場で購入できちゃうのも素晴らしい。powerpopタグおいしいです。

SoundCloud

SoundCloudは、アーティストが音源をアップロードし、公開、共有を可能にするプラットフォーム。シークバー上にユーザがコメント出来たり、TwitterFacebookと「繋がる」機能などはユニーク。さらっと垂れ流すのには向いていないんだけど、他のユーザをフォローしたりグループに参加したりとか、このコミュニティに一旦はまったらやばい。マッシュアップとか盛んなのでその辺りが好きな方は是非。

Pandora

ユーザの好みに合わせた音楽ストリームを提供してくれるネットラジオ。日本でも再び使えるようになるのを心待ちにしているんだけどなぁ。

余談の余談

次点の次点は、Yahoo!ミュージックVye Musicでした。

*1:Webブラウザで試してみたんだけど、アプリ内チャット、TwitterFoursquareでの音楽共有ってのはよくわからなかった。モバイルアプリのみの機能なのかな。

*2:他のレーベルのアクションについては不明。