新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミングサービス8+選

いろいろと思うところがあって、新しい音楽を開拓&垂れ流しにできるオススメ or 人気の音楽ストリーミングサービスを紹介したいと思う。

Jamendo

Jamendoは、世界最大のクリエイティブ・コモンズ・ミュージックサイト。現在配信中のアルバムは4万6千枚を数え、30万曲超のCCミュージックを提供している。Jamendo自身も、おすすめの曲のJamendoラジオストリーミングを行っているが、Chrome拡張のJamendo Radioを導入するとさらにカスタマイズされたラジオチャンネルの作成が可能になる。こうなると、ブラウザを立ち上げている間中、好きなジャンルの音楽をかけっぱなしに出来てしまう。

また、Chromeユーザ以外の方には、Jamendo APIを利用したJamendo HTML5 Audio Playerがおすすめ。こちらは、タグをクリックすると自動的にそのジャンルの楽曲のプレイリストを作成して流してくれる。

楽曲のソースは、いずれもアーティスト自身がJamendoにアップロードした音源を利用している。

radiko

radikoは言わずと知れた日本のIPサイマルラジオ。残念ながら関東、関西の一部地域でしか利用できないが、4月11日まで関東局は全国に開放されている。

ラジオといえば、歴史的に音楽をフィーチャーしてきたし、日本でも海外でも程度の差はあれ、それは変わらない。ホットな曲なんかは割とビジネスが絡んできそうな感もあるけれども、流行を捉えつつ、流行にとらわれ過ぎない、そんな番組もたくさんある。個人的にはInterFMがおすすめ。

公式でウィジェットやモバイルアプリ(Android/iPhone)を提供しているほか、より便利に使用するためのツールもたくさんある。

soundtrckr

soundtrckrはPandoraライクなネットラジオ。お気に入りのアーティストの名前を入力すると、似たテイストのプレイリスト(station)を自動生成してくれる。精度に関しては、有名どころだとそこそこいい感じ、インディペンデントだと随分幅広いな…、という印象。Last.fmからデータ拾ってきてるのかな。ちなみに、日本語にはほとんど対応していない。

iPhoneアプリもリリースしていて、AppStoreのTwitterアカウントで「もしPandoraとFacebookに子供がいたら、それはsoundtrckrなのかもしれない」とコメントされている。ソーシャルな機能はとんと使っていないのでわからないのだけれども、Facebookを経由して友人同士でフォローし合い、プレイリストを共有する感じなのかな。

Mashableは「Pandora + Rdio = Soundtrckr」というタイトルで紹介。Rdioのようにソーシャルをウリにしていて、アプリ内でのチャット、FacebookTwitterFoursquareを介した音楽共有が可能なのだとか*1

モバイルアプリは、iPhone/iPod TouchWindows Phone 7Nokia Oviに対応。Androidアプリの開発も現在進行中とか。Chrome Web Storeにも。

楽曲のソースは不明だけれども、Mashableによれば1,000万曲をリストしている。ネットラジオ然としていることを考えると、Pandoraよろしくライセンス周りはきちっとやってるのかな。

Shuffler.fm

Shuffler.fmは、MP3ブログなどにおかれた音源を集約し、100超のジャンルごとにプレイリストを生成、ストリーミングしてくれるサイト。

再生を開始すると、ブラウザ上部にツールバーが表示され、楽曲がアップロードされたMP3ブログを巡りつつ、楽曲を再生する。気に入った楽曲、気になったMP3ブログはツールバーからブックマークも可。

リストされたMP3ブログは、ただやみくもにネット中から集められているわけではなく、MP3ブロガーの自薦、ユーザの他薦に基づき、Shufflerが選別している。さらにいえば、MP3ブロガー自身も投稿する楽曲は「これぞオススメ」というものばかり。そういう意味では良い出会いが期待できそうだ。個人的な印象としては、インディ系の楽曲が多かった気がする。楽曲のジャンル分けはLast.fmAPIを利用している。

楽曲のソースはMP3ブログってことで、勝手アップロードが多そうだね。

The Hype Machine

The Hype Machineは、世界中のMP3ブログに投稿された楽曲を集約し、ウェブ上での話題性に基づいてリストしているサイト。Song Chart、Artist Chartの他に、Twitter Chartがあるのもユニーク。また、MP3ブログやアーティストごとに購読することもできる。

Twitterアカウントを利用して、Hype Machineフレンドを見つけ、ヒストリーを共有したり、TwitterFacebook経由で曲をオススメすることもできる。世界各国のThe Hype Machineユーザが今どんな曲を聴いているのかがわかる「Spy on Hype Machine users」もなかなか面白い。聞きたい曲名、アーティスト名で検索をかけて、プレイリストを生成することも出来る。日本語は不可。

楽曲のソースは、Shuffler同様MP3ブログなので、こちらも勝手にアップロードされているものが多そうだ。

TUBEiFY

TUBEiFYは今回紹介する中では最も極悪なサイトの1つ。YouTubeから音源を引っ張ってくるのは割とありがちなんだけど、極悪なのはLast.fm APIを駆使しつつ、ブラウザ上にSpotify風の何かを再現してしまったその機能性。

アクセスすると、まずPopular in Japanのリストが表示され、日本(のLast.fm)でホットな楽曲を一通り聴くことが出来る。リスト上のアーティスト名をクリック、または上部の検索欄にアーティスト名を入力すると、そのアーティストの楽曲一覧が表示される。さらに、リスト上部に表示される"Similar artist"一覧から似たテイストのアーティストを掘り下げていくことも出来る。また、"Albums"ごとに再生リストを作ることもでき、YouTubeにそれぞれの楽曲があれば、全曲通して聞くことが出来る。

タイムトラベルというユニークな機能もある。Billboard APIを利用し、現在から1960年代後半にまでさかのぼって、各週のBillboard Hot 100、Billboard Radio、Billboard Pop Top 40のそれぞれのプレイリストを生成してくれる。

YouTubeソースから探してくるということもあって、若干変なのがかかることもあるが、おおむね良好な感じ。別のビデオを探したければ、"Select video"から適当なものを選ぶといい。ソーシャルな機能としては、FacebookTwitterにTUBEiFYリンクを流すことが出来る。

楽曲のソースはYouTubeのビデオなので、大多数が違法にアップロードされたものかと。

利用には招待とGoogle or Facebookのアカウントが必要。招待って言っても、インビテーションリンク経由で行けばいいだけっぽいので、試してみたい方は、以下の記事中のリンクからどうぞ。

君のラジオ

同じYouTube x Last.fmマッシュアップでも、TUBEiFYがSpotifyにインスパイアされたなら、君のラジオはRdioにインスパイアされたという感じ。

サイト上で曲名・アーティスト名で検索をかけてヒットしたYouTubeのビデオからプレイリストを作成する、というのはそれほど目新しいものではないけれども、Twitterアカウントを利用して、ユーザ間で再生ログを共有できる。

共有できるとは言っても、閲覧して手動でプレイリストに追加しなくてはいけないので、その辺りの使い勝手はいまいち。一括で登録できればいいんだけどね。あとはユーザ間でプレイリストを共有できない、うっかり操作ミスでクリックしちゃったものもパブリックタイムラインに表示されてしまうなども、ちょっと気になった。

楽曲のソースはYouTubeのビデオなので、やはり違法にアップロードされたものが多そう。ユーザの再生タイムラインを見ても、そういうのが多かった。

Grooveshark

Groovesharkは、iTunes風な音楽共有ストリーミングサイト。たぶん、これが一番極悪かなぁと。米Lifehackerの読者投票によるBest Music Streaming Servicesでは第1位に輝いている。

基本的な使い方としては、(Radio)Stationから好みの音楽ジャンルのプレイリストを自動生成したり、アーティスト、曲名、アルバム名等で検索して再生リストを作成したり。前者は再生された曲への評価(ポジorネガ)によって、よりユーザ好みのものになっていく…とか。日本語検索も可能。また、Grooveshark内でのユーザ間再生リスト共有、プレイリスト共有機能もあり、自分のプレイリストに全曲または選択して追加することもできる。

Facebookに再生履歴を残したり、プレイリストをFacebookTwitterで共有したり、ブログ等にプレーヤー・ウィジェットを貼り付けることも可。

楽曲のソースは、ユーザがアップロードしGroovesharkのサーバーにため込まれたもので、600万曲を越すという。YouTubeやBaiduみたいなものだね。その甲斐あってか、レーベルから訴えられてもいる。英EMIとは2009年に和解に至りロイヤルティを支払っているとのことだが、2010年2月にはUniversalから著作権侵害だとして訴えられている*2。Universalからの働きかけにより、2010年8月にはiPhoneアプリApp Storeから追放、ほんの数日前にはAndroidアプリがAndroid Marketから追放されている。現在は、ジェイルブレイカー向けのiPhoneアプリを提供している。

終わりに

今回は「新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる」音楽ストリーミングサービスの中から、私がオススメしたいものと、人気のものを集めて紹介してみた。こうしてみると、Jamendoradiko、soundtrckr以外は、MP3ブログであれ、YouTubeであれ、違法にアップロードされた音源を多く含んでる。最近だと「君のラジオ」が偉い絶賛されてたりするけれども、パブリックタイムラインなどからその使われ方を見てみると、違法にアップロードされたソースを参照していることが多い。

しかしその一方で、近年P2Pファイル共有やMegaupload等オンラインストレージ、マジコン、Baiduライブラリに内包される著作権侵害問題については、ユーザ側の遵法的、道徳的な意識が高まっているようにも思える。

この乖離は実に興味深い。音楽というものの扱いの軽さゆえなのか、それともいくつかのクッションを経て違法コピー・ロンダリングがなされているのか。いずれにせよ、書籍やゲーム、アニメ/映画等の映像コンテンツで同様の仕組みを構築すれば、批判は避けられないようなサービスでも、音楽であれば何となく「便利だ」「面白い」と許されてしまうのかもしれない。まぁ、そういう気軽さ、自由さが、レコードの大衆消費型のビジネスを押し上げてきた部分もあるとは思う。

もちろん、YouTubeの場合、メジャーなミュージシャンであっても正規にアップロードされているコンテンツもあるし、不正にアップロードされたものでも事後的に許諾されているものもある。が、そういうものばかりでないことは、ほとんどの人が承知しているだろう。

便利さ、おもしろさが重要なことは確か、でも、そこで楽しめるコンテンツがどういう経路であなたに届いているのかを理解した上で利用することも大事なこと。違法でなければOKという考え方もある。でも個人的には、抜け道をガイドしてくれるサービスよりも、正規のサービスを伸ばすべきフェーズに差し掛かっているんじゃないかなって思っている。

と同時に、なぜこのような抜け道的なサービスが人気を集めるのかってことを、考えるべき人に考えて欲しいなぁとも思う。タダだから、なんて単純な答えを出すのではなくてね。

追記:今回紹介しきれなかった「新しい音楽を開拓&垂れ流しにできる音楽ストリーミング」を紹介してみました。

余談:次点

Bandcamp

Bandcampは、ミュージシャンやレーベル自身によってアップロードされた楽曲を配信するサイト。垂れ流しには向いていないんだけども、全曲フルで試聴出来るので、お気に入りの音楽ジャンルのタグでブックマークして、聞きたいときに適当に選んで再生する、なんてやり方もアリ。その場で購入できちゃうのも素晴らしい。powerpopタグおいしいです。

SoundCloud

SoundCloudは、アーティストが音源をアップロードし、公開、共有を可能にするプラットフォーム。シークバー上にユーザがコメント出来たり、TwitterFacebookと「繋がる」機能などはユニーク。さらっと垂れ流すのには向いていないんだけど、他のユーザをフォローしたりグループに参加したりとか、このコミュニティに一旦はまったらやばい。マッシュアップとか盛んなのでその辺りが好きな方は是非。

Pandora

ユーザの好みに合わせた音楽ストリームを提供してくれるネットラジオ。日本でも再び使えるようになるのを心待ちにしているんだけどなぁ。

余談の余談

次点の次点は、Yahoo!ミュージックVye Musicでした。

*1:Webブラウザで試してみたんだけど、アプリ内チャット、TwitterFoursquareでの音楽共有ってのはよくわからなかった。モバイルアプリのみの機能なのかな。

*2:他のレーベルのアクションについては不明。