Ars Technica、買収の経緯を説明

私が毎日愛読しているニュースサイトの1つ、Ars TechnicaがConde' Nastによって買収されたことがTechCrunchのスクープ記事で明らかにされた*1。私にとっては、独自のスタイルを貫くArsがこの買収によってどうなるんだろうと思いつつ、Ars自身の記事を待っていたのだけれど、ようやくそれがアップされることとなった。
Ars Technicaとしては、WIRED Digitalの一部門となりはするが、独立したユニットとして、そのスタイルはこれまで通りのものとなる、と説明している。

The future
どのような買収であれ、会社が買収されたことでそれが大きく変わってしまうという恐れが常に存在する。通常は悪い方向に。それがArs Technicaに起こりえないだろうという理由はここにある

  • 編集リーダーシップは、これまで同様に維持しつづける。取引の中で、我々は編集の独立性を求めている
  • オフィスを開設し、より多くのスタッフを招きいれる、そのためのプロセスを進行中である。
  • Conde' Nast/WIRED Digitalは、Ars Technicaがより大きくなることを目指す以外には求めてはいない。
  • 我々は長年にわたってArs Technicaについてたくさんのアイディアを抱えている。その中でもいくつかの最高のアイディアに取り掛かり始めているというのは本当に喜ばしい。
Ars Technica acquired by Conde' Nast: the low-down

そのほかにも、Comscoreの数字を引用しているとこも多いけど、うちは月間500万UV、3,000万PVだよとか。
とりあえず、このエントリでArsが強調していることは、この買収はArsにとってステップアップになる、そして買収ののちもArsが独立した存在として記事を書き続けることには変わりない、ということだろうか。
この記事自体の流れとしては、経緯、目的などの説明と、Ken FisherがArs Technicaに、読者に抱いている思い、謝辞、そうした部分を吐露することで読者に理解を求める、という感じかな。こういった文章は嫌いじゃない。
個人的な思いとしては、Arsには

Ars Technica will remain an independent publication,

Ars Technica acquired by Conde' Nast: the low-down

であってほしいと願っているし、おそらくそうであろうと楽観視もしている。そもそも、Arsが今のスタイルを捨てたら、確実に読者は離れるだろうね。私がArs Technicaのスタイルが好きなのは、事実を伝えるということと、編集者のオピニオンを含めることのバランスが絶妙だと思えるから。記事の書き方ってどうしても編集者の考えが含まれちゃう部分もあるだろうから、そうした部分があるのであれば、まったくわからないよりも明確に分かる形のほうがいいと思っている。バランスとしては偏っているかもしれないが、そのバランスを保つのは読者自身であるべきだと思っているし。

余談

ITmediaもこの買収の話題を扱った記事を書いているのだけれども、その記事に気になる部分が。

WIRED Digitalではほかにも、開発者向けのチュートリアルサイトWebmonkeyの再立ち上げや、HotWired.comの復活なども検討中だという。

テクノロジーブログのArs TechnicaがWIRED傘下に - ITmedia News

HotWired.comの復活!個人的にはHotWired,comが大好きだったので、嬉しい限り。以前は日本語版HotWiredを読んでいたのだけれど、それが読めなくなったことで英語圏のニュースサイトを読むようになり、それで読むようになったのがArs Technicaだったのよね。

*1:この買収の概要についてはTechCrunchの記事を参照してみてね