帯域規制:ISPは「使い放題」などと喧伝していたか
ずっと気になってたこと。「使い放題っていっときながら本当に使い放題使ったら規制かよ!ふざけんな!」って意見を聞いたりすると、まぁ、そうだよなぁと思うし、実際使い放題って触れ込みで加入したのに、P2Pに関しては使いたい放題どころか使いたいように使えない状況もあるわけで、やっぱりおかしいよなぁなんて思ったりもする。
まぁ、ただその一方でISP側にも限界がある、というのは理解できなくもない。本当に使い放題使われたら、やってはいけないわけでね。だから、ことさらにISPを腐すつもりもないのだけれど、ただ、実際に「使いたい放題って言ってただろ!」と主張されているようなことが本当にあったのかどうか、それをちょっとだけ検証してみたい。確かに私としてもそういった謳い文句を目にした覚えはあるのだけれど、その記憶にどれだけの自信があるかというと、少し心もとない。そんなわけで、調べてみた次第です。
答えだけ先に言っておくと、確かに言ってた。
Wayback Machine
検証といっても、私の利用するOCNに関してのみ扱うことにする。他のISPがどうだったのか気になる方はそれぞれに検証してみてくださいまし。検証に際してはInternet ArchiveのWayback Machineを使うことにした。
使い放題の夜明け:2001年
一般ユーザに対して「使い放題」なんてうたい文句で宣伝を始めたのは、ADSLが普及し始めたころだったと記憶している。ちょうどブロードバンド元年とか呼ばれたのが2001年だったはず。Yahooがありえない価格破壊とユーザの混乱をまき散らした年でもあった*1。
OCNも2000年の終わりごろからDSLサービスの提供を開始したようだ。2001年2月5日のOCNサイトアーカイブではDSLサービス(ACCA)に関してこのような案内がなされている。
それほど扇動的な感じではないよね。ちなみにサービス開始時点では、下り512kbps、上り224kbps(ともにベストエフォート)*2。
それが同年6月ごろになると、「使い放題」の謳い文句が登場している。2001年6月4日のOCNサイトアーカイブではこんな感じ。
http://web.archive.org/web/20010604000348/www.ocn.ne.jp/adsl/
2002年
使い放題が定着した模様。
http://web.archive.org/web/20020218231525/www.ocn.ne.jp/adsl/?L
http://web.archive.org/web/20020204192508/www.ocn.ne.jp/adsl/start/
http://web.archive.org/web/20020802224823/www.ocn.ne.jp/adsl/start/com.html
何か宣伝文句が懐かしい感じ。
2003年
この年も「使い放題」を押してるね。
http://web.archive.org/web/20030210082347/www.ocn.ne.jp/adsl/acca/
http://web.archive.org/web/20030417170037/www.ocn.ne.jp/hikari/
http://web.archive.org/web/20030418060738/www.ocn.ne.jp/hikari/bflets/faq/
ちなみに最後のFAQの項目は現在でも同様の表現が用いられている。
http://www.ocn.ne.jp/hikari/wflets/faq/
2004年以降
http://web.archive.org/web/20040604222347/www.ocn.ne.jp/hikari/bflets/charge/
この辺から謳い文句はマイルドな感じになってくる。「思う存分に」とか。少なくとも「使い放題」というキーワードは見受けられなくなる。
と思いきやキャンペーンのページには「つなぎ放題!」というアグレッシブな表現も顕在。確かに詳細のページには煽り文句はなくなったけど、キャンペーンページにはあったのね。
http://web.archive.org/web/20051219082316/www.ocn.ne.jp/start/?starth
http://web.archive.org/web/20060427002219/www.ocn.ne.jp/start/hikari/bflets/?start1
http://web.archive.org/web/20070208234646/www.ocn.ne.jp/start/?genL
なお、このページは2007年8月まで存在していたことを確認。それ以降はWayback Machineのキャッシュが公開されていないために不明。
実際のところ…
確かに昔「使い放題!」って宣伝を見たことあるなぁと思ってたし、実際それが確かめられたんだけど、個人的にはその当時の「使い放題」ってのはかなり文脈的なものであって、特にテレホマンに対して、「常時接続できるぜ!」って意味合いのものだと思ってたのよね。
現在では、使い放題、つなぎ放題って謳い文句はサイト上にはなくなっているみたいだけど*3、それでも最近までキャンペーンで「つなぎ放題」を謳ってたんだなぁというのはちょっとびっくり。
もちろん、つなぎ放題といっても、接続時間は気になくてもいいよ、って意味合いが強いのだろうけれど、それでも転送量に制限を設ける以上は、「接続時間に関しては、いくらでも繋いでいてOK」という表現として用いるとしても、誤解を招かないように制限に関して注釈を入れるとか、表現を変えるべきだよなぁとは思う。
一応言っておくと
私はOCNユーザだけど、UL30GB/日の制限に引っ掛かることもなさそうだし、BitTorrentトラフィック自体を制限しているわけでもないみたいなので、たとえ8月1日からこの制限が課されたとしても、継続して利用を続けたいと思っている。