日本で違法ファイル共有ユーザに対する民事上の追及がほとんどない理由

先日「日本じゃ違法ファイル共有ユーザに対する民事での追及ってほとんどないよね」というエントリの中で、なぜ日本では違法ファイル共有ユーザに対する民事訴訟があまり行われないのか、という疑問を投げかけてみたところ、レスポンスをいただいたので、ここにご紹介するよ、というはお話。どうもありがとうございます。
id:sonota88さんから、ブクマコメントにて以下のエントリを紹介していただきました。

mohno : 著作権侵害と民事と刑事

いずれもコストや制度的な問題*1、風土の差異が存在しているためではないか、というところでしょうか。

mohnoさんへのご返信

懲罰的賠償金については、なかなか私自身の考えがまとまらないところではありますが、それ以外の点については納得のいくお話でした*2
「既得権の鬼」と揶揄される部分も、時代遅れの私的録音録画補償金制度*3や保護期間の延長などに関しては、既得権を盾にしてるだけなのによく言うわという感もあるのですが、著作権侵害に対して権利を行使することを持って、権利の濫用であるかのような非難はどうだろうとは思ってます。もちろん、そのプロセスに不備があるのであれば、やはりそれは考えるべき問題だとは思ってます。
いずれのエントリも非常に勉強になる内容なので、皆さんもぜひ読んでみてください。

追記

大野さんより懲罰的賠償金のお話についてはてブにて補足コメントいただきました。

mohno mohno ご紹介ありがとうございます。ちなみに「懲罰的賠償金を導入すべき」ではなく、「刑事罰をやめるなら、そのバランスとして」です。あくまで選択肢の考察であり、その方向には進まないだろうとも思います。念のため

*1:ハードル?

*2:少なくともプライベートな海賊行為(あくまでも、プライベートだからよいだろうという表現ではありません。プライベートであっても、その規模が膨大なものになっているのが実情ですから)ということを考えると、その対象となるのは、海賊行為をしている以外には「普通の人」であることを考えると、この文脈で現実的に「懲罰的」側面が必要なのか、という感もあります。むしろ、そうした人たちに責任を求めるのであれば、「正義」のためであったほうが、訴える側の経済的な部分以外での負担は小さいのではと思えるのです。もちろん、そうした「懲罰的」側面は任意のオプションでしょうから、あってもよいだろう、というお考えは理解できます。

*3:ある程度コピーを防止可能な技術が存在する以上、私的なコピーを許すか否かは権利者自身が決めればよいことだと思っています。それで利便性が失われるとしても、それは同時にコンテンツは1つの価値を失うわけですから。利便性も含めてパッケージだと考えられるのではないでしょうか。