ブッシュ、PRO-IP法に署名
PRO-IPが成立したとかいう話題。昨晩、what's my scene? ver.7.2さんもエントリをあげていたが、CNET JAPANでも記事になった。
ブッシュ大統領、RIAAが支持する知的財産法に署名:CNET NEWS
前々から問題にはなっていたが、ついに、という感じもする。ただ、一番問題のある個所が削除されているので、その点は一安心ではあるが。
とりあえずちょっとしたメモ。
- ホワイトハウスに大統領直属の知的財産執行調整役(IPEC)を新設
- 国内外の知財権保護に絡んで、大統領に提言するポジション。通商代表のような外交権限はなさそう。
- おそらくはロビー先になる
- 知財権侵害に対する罰則強化
- 知財権侵害にかかわったデバイスの没収
- 知財権保護の取り組みのための調整資金を増額
- 司法省が民事訴訟に乗り出すという規定は削除
何かわかったら追記することにする。
それとCNETには載らなかったそれぞれの人たちの反応を"Bush Signs Controversial Anti-Piracy Law - Billboard.biz"より抜き出してみる(ソースはロイター)。
NBC Universalエグゼクティブバイスプレジデント・法律顧問Rick Cotton
- この法律は、映画、音楽メーカーに、医療機器から自動車部品、メディアに至るまで組織的犯罪のすべての偽造、海賊行為の『津波』に対抗するためにツールを与えただけ
「それこそが、この議論の中心となっています。ティーンエイジャーについての話ではありません。」
EFFスポークスマンRichard Esguerra
Public KnowledgeスポークスマンArt Brodsky
- 著作物のフェアユースが委縮している現在、この法律は行き過ぎ
- 国民、アーティストへの利益にはつながらない、市民への配慮が足りない
- 「孤児作品」に対するさらなる施策が必要
- 既に映画、音楽産業は著作権侵害ユーザを訴える権利を持っており、この法律は不要
「著作権侵害に対する数多くの処罰が既に存在しています。彼らが必要なすべてのツールは既に手にしているはずです。」
- 海賊行為に用いられたデバイスの没収に関しても反発
「1台のPCが家にあると考えてください。ある人はそれでダウンロードし、別の人はそれで宿題をします。しかし、そのPCはなくなってしまうのです。」
個人的な感想
Public Knowledgeが主張するように、映画、音楽産業においては、海賊ユーザ、海賊業者を裁判所に呼びつけるだけのツールは既に存在しているので、さらにそれに輪をかけてどうこうする必要はそれほど感じられない。むしろ、現在問題になっているのは手法的、テクニック的な問題(たとえば、侵害ユーザの本当の特定の問題、送信可能状態に置いたことがすなわち著作権侵害になりうるのか)であって、それはこのPRO-IPでどうにかなる問題でもないような気がする。
まぁ、単に脅しです、ジオングの足みたいなものです、ということなら良いのだが、実際にRIAAやMPAAが*1自己流の解釈でもってそれを用いるとしたら、またいろいろと問題になるような気がしないでもない。ただ、詳しく見てみないことにはまだよくわからないので、そんなに強くは言えないけどね。
*1:特に前者