ケータイのパケット代12万円って結構すぐだよ

携帯電話の使い込みを巡り、埼玉県深谷市で母親(36)が中学3年生の長女(15)を殴って逮捕される事件があった。長女が使い込んだ携帯の使用料は、なんと月額12万円。平均的な家計なら、1か月の生活費の大半が吹っ飛ぶような高額の請求だ。子どもがそんなに携帯を使い込むことができるのか。

J-CASTニュース : 子どもが携帯に月12万円! そんなに使えるものなのか

事情はさておき、子供をぼこぼこにする親というのはどうかと思うのだが、それは置いといて。
携帯代に月12万円というのは、パケット料金を考えるとそれほどあり得ない額ではないよね。通話料だけでもそれくらい使い切れるのかもしれないけれど、最近だとパケット料金の方が可能性が高いように思える。もちろん、パケット定額プランに入っている場合は、その額以上を請求されることはないのだが。

携帯電話でのブラウジングは以前に比べてかなり一般的になりつつあり、コンテンツも充実、通信速度も向上している。ただ、料金に関してはそれほど変化しているわけではなく、パケット定額プランを利用しない限りは、知らず知らずのうちに使いすぎて、思いがけない高額請求に直面してしまうことも起こりうる。

ケータイを日常的に利用していない人にとって、パケット料金ほど直感的にピンとこないものはない。おそらく、このブログを読んでいるほとんどの人が、ケータイのパケット定額プランを利用していないと思われるので*1、そういった人がケータイで5MBのファイルをダウンロードしたとしたら、という想定で計算してみよう。課金単位はパケットなのだが、我々にとってなじみのある「バイト」に置き換えてから計算することにする。

5MBのファイルをダウンロードするとしたら?

1パケット=128byte

1KB=8パケット

1MB=8,192パケット

5MB=40,960パケット

料金はDocomo FOMAの場合、1パケット0.2円。

なので、5MBのファイルをダウンロードするとなると…

40,960*0.2 = 8,192円

そう、5MBという、MP3なら当たり前のような容量で8000円以上かかってしまう。ちなみにドコモのパケット定額プラン・パケホーダイは3,900円*2。3,900円分のパケット料金で逆算すると、大体2.4MBになり、これ以上ダウンロードするのであれば、パケット定額プランに入っておいた方がよいだろう*3。ちなみに、パケット代のみで12万円使い切るとなると、大体73MBほどダウンロードすればよい計算になる。

まかり間違って定額なしで10曲とか着うたフル買っちゃったらほんと死ねるんじゃないかと。どうでもいいことだけど、1CDサイズ(700MB)のファイルをダウンロードすると100万超える。

高いとは知っていたけど…

私もそうだったけれど、これほど高額になるとは思ってもいない人が多いのではないかな。最近のケータイは通信速度が速く、ほんと、5MB程度のファイルであればあっという間にダウンロードされてしまう。料金の請求はあとになってくるので、それまでガンガン使ってしまうと相当な額を請求されてしまうことにもなりかねない。

また、以前は機種変の際に割引になるという理由でパケット定額プランに加入する、という人もいたが、パケット定額プランが適用される期間までにタイムラグが生じるケースがあり(たとえば、翌月分から適用、とか)、適用される前に勘違いしてバカスカ利用してとんでもないことに、ということもあったらしい。

大容量のファイルをダウンロードする機会は、ケータイ向けコンテンツの充実にともなって増加していると思われる。たとえば、着うた、ゲーム、YouTubeニコニコ動画でのビデオ視聴。ともすれば、興味本位で利用してみる可能性のあるものも多い。

ただ、こうしたパケットの問題はサービスプロバイダ側でも既知の問題であり、ケータイからYouTubeニコニコ動画にアクセスすると、しつこいくらいにパケット定額プランに加入しているかを確認するメッセージが表示される。

また、キャリアの側でも対策は講じているようだ。

携帯各社とも、使用料が膨らむのに歯止めをかけるサービスを提供している。(中略)使用料そのものにも上限を設けて、メールで知らせたり、自動的に停止したりするサービスも普及させている。ドコモ、KDDIとも、一部を除き上限の最高額を1万5000円前後に設定している。

J-CASTニュース : 子どもが携帯に月12万円! そんなに使えるものなのか

ただ、これって通知/上限設定サービスを申しこめば、通知/停止してくれるというものなのかな?それとも、そういったサービスを利用していなくても、一定額に達すると通知してくる/停止してくれる、というものなのかな?後者であればよいのだけれど、前者であればこうした思いがけない高額請求にはあまり効果はないように思われる。

もちろん…

ケータイでお金がかかるのはパケット代だけではない。通話料もかかれば、着うた、ゲーム、有料掲示板*4など、各種サービスを利用することで課金される。また、PCからのアクセスでは課金されないようなサイトでも、ケータイからのアクセスでは月額情報料を必要するサイトも少なくない。たとえば、朝日新聞のケータイ向けサイトも利用するためには月額105円課金される。

結局のところ

ケータイ以外の方法でインターネットに快適にアクセスできる人たちにとって、わざわざケータイからアクセスする必要はほとんどない、と考えるのが利口かなと。もちろん、ケータイがインターネットにアクセスする主なツールだというのであればその限りではないけれど。

追記

当エントリのタイトルで「12万円は結構すぐだよ」などといっているものの、じゃあ具体的にどれくらいなのか、は示してはいない。
それに関して、IKeJIさんからトラックバックをいただいたのだけれど、なかなか興味深いので、是非読んでみることをお勧めしたい。

俺が注目したいのは「結構すぐ」はどのぐらいの時間なのか。 最新の機種でHSDPA対応だと7.2Mbpsの通信速度がでるはず。

IKeJI diary(2008-11-19)

さぁ、最新の携帯だと何秒で12万円に達するのか、それは上記エントリを見てのお楽しみ。また、当エントリでは「着うたとか動画配信の利用」が高額請求をもたらすかも、というお話だったが、それよりさらに一歩踏み込んで、それを利用しないから大丈夫、とも言えないんじゃないかという指摘がなされている。

*1:ウィルコムとかイーモバ使ってる人の方が多いんだろうなぁ

*2:ただし、来年から新規契約分はパケ・ホーダイ ダブルのみとなり、既存のプランは廃止される。パケホーダイユーザとしては実質値上げになる。

*3:あくまでもパケット定額プラン、パケット割引プランに加入していない場合。パケットパックを契約することでパケット単価は下がるのだが、来年からパケットパック10・30の新規契約は廃止され、その代わりにパケ・ホーダイ ダブルが代価プランとして用意されている。こちらは、1,029円(無料通信分980円を含む)で0.084円/パケット。無料通信分を超過した料金が上乗せされていき、上限は4,200円となっている(税込み4,410円)。パケット単価は半額以下なので、2.4MBといわずとも一定量の利用が見込まれているのであれば、こうしたプランを契約していた方が良いだろう。損得の境界容量に関しては・・・計算は面倒なので、各自お願いします。

*4:出会い系とかね