もしハンドバッグ産業がMPAAのようになったら…

米国ハンドバッグ協会(Handbag Industry Association of America:HIAA)は、ハンドバッグを共有する数千名の女性を訴え、アンチ違法ハンドバッグ共有キャンペーンを開始した。

HIAAのHandbags Rights Management(ハンドバッグ権管理:HRM)スキームのもと、ハンドバッグを利用する人たちはハンドバッグの所有に窮屈な思いをさせられる。

たとえば、HIAAスタンダードのハンドバッグは、1つの国でしか機能しなくなる。たとえば、国境を越えたとたんに、ハンドバッグの底が抜けて中身がバラバラと…。

さらにこのHRMは、特定の服との組み合わせでしかハンドバッグを使えないようにしてしまう。もし、別の服でハンドバッグを使いたければ、余分にお金を支払ってライセンスをえなければならない…。

なんてジョークがbagbunch.comに掲載されている(上記画像も同サイトより)。

If the MPAA Did Handbags ? Bags, Handbags & Purses(via Threat Level - Wired Blog

音楽産業、映画産業の海賊行為対策を揶揄した記事になっていて、非常に面白かった。
ただ、こうした例えは、皮肉として単純に「ばかだねー」と笑う飛ばす分だけならいいのだが、「そうだそうだ、やっぱりDRMはおかしい!」と考えてしまうのであれば、いささか問題がある。違法ファイル共有は万引きと同じ、という例えがバカらしいのと同様に、これはデジタルコピーである、という前提が抜けてしまうことで、例えとしては正確さが失われてしまうことになる。特にそれが、問題に関わる重要な特性であるときには、その不正確さは無視できないものとなる。

基本的にDRMはデジタルコピーに関連するものであり、そもそもコピーできないハンドバッグで同様の事態が、などというのは冗談としてはまだしも、議論に持ち出してくるような話ではないよねぇ。もちろん、元記事のbagbunch.comはハンドバッグ専門ブログなので、本当にジョークのつもりで書いているだけだろうしね。


とはいえ、何でこんなジョークが書かれるに至ったかというと、
Piracy. It's a Crime.

このMPAAの非常に有名なキャンペーンビデオ冒頭の"You wouldn't steel handbag"から来ているのだろう。このビデオはなかなかのインパクトゆえに、上記の記事以外にも、様々な批判や揶揄、パロディを生み出している。たとえば英国Channel 4の『The IT Crowd』の第2シーズン第3話冒頭でもパロディに使われていたりするし、欧州議会緑の党上記のビデオにインスパイアされたアンチ・アンチパイラシーキャンペーンビデオを公開している。

I wouldn't steal

45秒過ぎの"THEY EXPLOIT ARTISTS AND SELL PROPAGANDA"ってのは、完全に当たっているとはいわないけれど、外れてもいないという…。

ある意味ではこれらのビデオが作られるに至ったわけで、文化に貢献するアンチパイラシー活動とも言えなくはないかもね。もちろん、彼らが意図した目的とは違うところで、だけど。