広告モデルがダメってわけじゃないと思うけどね

はてなブックマーク - 角川グループ YouTubeからの月間広告収入1000万円超を達成 - アニメ!アニメ!

この記事へのコメントで、早々にオンラインでの広告モデルにがっかり感を示してる人たちが少なくないのだけれど、個人的には、まぁ、いいんじゃね?と。確かに少なくはあるのだけれど、Hulu並の全力投球をしているわけでもなく*1、雀の涙程度のコンテンツを提供しているくらいだから、まぁその程度でも仕方がないかと。

ただ、公式動画は雀の涙程度でも、MAD等の認定コンテンツが多数あって、そうしたものから利益を上げられるのであれば、よいのではないかなとは思うのだけれど、勝手にアップロードされたコンテンツを探すとか、MADだと同社の管理外の著作物も含まれることもあるだろうから、それらの処理のためにもお金がかかっちゃうけどね。

で、あとこのブックマークコメントの中に、WarnerとYouTubeの決裂の原因を、儲からないからって感じで捉えてる人もいたのだけれど、個人的にはこの一件はYouTubeコンテンツホルダーの綱引きだと思ってたんだけど、どうなんでしょ?儲かる/儲からない以前に、もっとシェアしろ/断る!って感じじゃないかなと。今となっては丸く収まったけど、UniversalとApple(iTS)のいざこざみたいな。

とはいえ広告モデルはうまくいかないとは思う

何でもかんでも広告モデルで解決!とはいかないって意味で。Huluのように既存の人気テレビコンテンツをリストして、優良広告主を自ら引っ張ってこれるならいざ知らず、そうでもなければやはり難しいってのは間違ってはいないと思う。
ただ、広告モデルに頼りきることは難しいと言うだけで、広告モデルの採用自体は不可避だろうなぁとは思う。その辺はマイクロペイメントが可能になったとしても、それだけではうまくいかないと思っているのと同じで、何か1つに頼っていけるほど、単純な世の中ではなくなりつつあるんじゃないかと。

既存のメディアやモデルがうまくいかなくなっているのも、多様な情報のルートが顕在化していることの表れであって、決してそれらが破綻に向かっているというわけではないんじゃないかと思っている。確かにそう見えるところもあるけれど、単純に過去のサイズではフィットしなくなっているだけとも思える。

テープやMDが音楽産業の脅威ではなかったように、レンタルが映画産業の脅威ではなかったように、ビデオ録画がテレビ産業の脅威ではなかったように、インターネットはコンテンツ産業の脅威ではない。むしろ、チャンスだと思っている。

先日のエントリでも紹介したUniversal Music Groupデジタル部門eLab代表のRio Caraeffが

もはや我々は、トータルアルバムセールスやある特定の製品の売上を収益や成功の規準とは見ていません。

それぞれのアーティストやプロジェクトのデジタルセールス、フィジカルセールス、モバイルセールス、ライセンス収入など多岐にわたる収益ラインを合わせた総合的な収益をこそ見ています。

Music Sales Fell in 2008 but Continued to Climb on the Web - NYTimes.com

といっているように、これからはさまざまな収益ストリームを考慮して、それらから総合的に利益を上げる必要があるんじゃないかな。もちろん、その組み合わせ方もまた、試行錯誤が必要になるのだろうけれど。

コピーを制限してこそ利益が上がる、それはこれからもそうだと思うのだけれども、どう制限すればよいのかが変わりつつある中、過去のやり方に従っていればジリ貧に陥るのは仕方のないことだろう。だって、我々の情報のストリーム自体が多様化しているんだから。

*1:それでこの額なら絶望しても仕方がないが