なぜ日本の家電メーカーがKindleを作れなかったのか

現時点でKindleは一応の成功を収めた/収めつつあると仮定して。

結局、Kindleを作ったのがハードウェアメーカーなんかじゃなく、Amazonだったからうまくいったってことじゃないかしら。AmazonKindleというデバイスで利益を出すためにリソースをつぎ込んだからこそ、今のKindleがある、と。

これ、iTunes/iPodと逆のパターンだよね。AppleiPodというたぐいまれなるハードウェアを作り出したことで、音楽配信の王者になった。そのことがさらにiPod体制を盤石なものにした、と。

でもKindleってiTunes/iPodと逆のパターンでしか、為し得なかったんだろうなとも思う。だって、電子書籍用デバイスなんて既にデマンドがあったわけじゃないでしょ?

その点iPodの場合、Sonyウォークマンから続くポータブルミュージックプレイヤーという概念が既に当たり前で、カセットテープ、MDとかCDから別の媒体にコピーして音楽を持ち運ぶ、ってのも当たり前だった。CDからのリッピングも一般的とまではいかないにしても、まだアレゲなmp3ファイルがウェブ上にごろごろしてたし、ファイル共有もあったし、mp3がユーザのPCに入りこんでいた時代だった。少なくとも、多くの人の手元に、CDからiPodに音楽を転送するだけのツールは揃いつつあった。

じゃあKindleはというと、確かに電子ディスプレイ上に文字情報を標示させて閲覧するというのは、インターネットの登場でごくごく当たり前になっていたものの、依然として紙媒体との明確な棲み分け状態は変っていなかった。というか、今でも変っていないのかも。

そんな状況にあって、ハードルの高い電子書籍の領域に踏み出していく、というのであれば、ハードだけじゃなく、ソフトにも強くなければいけない。むしろ、ソフトの方が重要か。それを実現しうるハードウェアメーカーがあるかといえば…、どこにもないよね。

Sonyのもハードウェアとしては、悪くはなかったと思うんだけどね。