「音楽産業は責任転嫁するな!」:英国アーティストによる権利団体、ISP協会より「インターネットヒーロー賞」を授賞
英国のメジャーアーティストらは、FAC(The Featured Artists Coalition)というロビー団体を設立し(詳細はこちら)、現在の音楽産業の有り様に異議を唱えている。彼らは音楽産業のアーティストに対するアンフェアな扱いを止め、フェアに扱うよう求める一方で、彼らのファンであるインターネットユーザに対する乱暴な扱いに対しても批判している(たとえば、FACはスリーストライクポリシーの導入にも懸念を表明している。)。
そんなFACがこの度、Internet Service Providers’ Association (ISPA: インターネットサービスプロバイダー協会) 主催のThe Internet Industry Awards 2009のInternet Hero賞受賞したと、「Green Sound from Glasogow」さんが伝えている。
受賞理由は「一般市民に、音楽業界はインターネットプロバイダーに責任を押しつけるのではなく、新しいオンライン・コンテンツ・ビジネスの道を探すべきだという認識を広めた」ため。ノミニーには、スリー・ストライク法を基本的人権の侵害とした欧州議会も含まれていますね。
Green Sound from Glasogow FAC: The Internet Industry Awards 2009受賞
確かに、FACメンバーでもある英国ミュージシャンBilly Braggは以前、ISPに責任をかぶせようとする音楽産業に対する苦言をGuardianに掲載している。
「私たち、Featured Artist Coalitionに参加するメンバーにとって、音楽産業がこうした法案を求めるに際して、本当にアーティストの最大の利益を代表しているのかどうか疑わしく思わざるを得ません。」
英国アーティスト団体、スリーストライク法を求める動きに懸念を表明 :P2Pとかその辺のお話
「これは他分野の産業に責任を押し付けるという恥ずべき試みどころの話ではありません。こうした法案が期待されるほどの効果があるかどうかに関わらず、問題が解決されることはないでしょう。テクノロジーは常に規制に先んじています。捕まるのを恐れる無許諾のファイル共有ユーザたちは、単に見つからない方法に移行するだけでしょう。」
「Featured Artist Coalitionは著作権侵害には反対していますが、もしテクノロジーが音楽への自由なアクセスを可能にするのであれば、人々はそれを活用する、ということをよく理解しています。次世代の音楽ファンはもはや音楽にお金を払いたいとは思ってはいないのかもしれません。でも、彼らは音楽に飢えています。音楽産業にとっての課題は、そうした人々の行動からマネタイズする方法を見つけ出すことなのです。」
「今のところ、レーベルにとって主導権争いに敗れるということは、彼らの音楽流通におけるコントロールの終演を意味しているのでしょう。まだか弱きデジタル産業が飛び出す前に、その翼を奪わんとする、そのためにできることなら何でもするというのも、そうした理由からではないしょうか?」
こうしたスタンスをアーティスト側がとってくれることが、責任を負わされそうになっているISPAにとってはありがたい存在だという部分はあるのだろう。まぁ、一ユーザとしても心強いところではある。ちなみにタイトルの「音楽産業は責任転嫁するな!」はISPAの心の叫びかなぁと思ってつけてみた。
FACチェアマンでBlurのドラマー Dave Rowntreeもこの授賞に以下のようなコメントを出している(翻訳はGreen Sound from Glasogowより)
"what a surprise and honour! Winning this award is fantastic. I hope this shows that artists are willing to talk with ISPs about the challenges of adapting music industry business models to the digital age. We have to work together -- the status quo is not good enough."
Green Sound from Glasogow FAC: The Internet Industry Awards 2009受賞
(驚きと光栄だね!この賞を頂けたのはとても素晴らしいことだよ。この受賞は、アーティストたちが、インターネット・サービス・プロバイダーとの会話をもつことに積極的であることを示しているんだ。デジタル時代に向けた音楽ビジネスモデルを取り入れるというチャレンジについてね。私たちは共に働かなければならない。現状維持だけでは十分ではないんだ。)
うん、私も同感だ。