2011年のシングルCDセールスの3分の1はAKBとジャニーズとK-POPでできているようです←知ってた
オリコンの2011年年間CD&DVDランキングが発表されまして、なかなか大変なことになっているなぁと苦笑いしながら見ているのですが、その中でも特にシングルCD年間チャートが特にすごいことになってるのでそのお話でも。
百聞は一見に如かず、今年の年間CDシングルランキングTOP101を見てくださいな。背景赤が秋元康プロデュース、青がジャニーズ、緑がK-POP、黒がその他。
データはオリコンチャートの集計をされているThe Natsu Styleさんの『2011年 オリコン年間シングルランキングトップ100 結果速報:The Natsu Style』より。オリコンの年間ランキングは1桁まで出しているのだけれども、推定売上が掲載されているのはTOP50までなので、The Natsu Styleさんのデータを使わせてもらった。
TOP20、TOP50、TOP100に占める秋元康プロデュース、ジャニーズ、K-POP、その他の作品の割合を以下に。
秋元康プロデュース、ジャニーズ、K-POP合わせて、TOP100に67曲を送り込んでいる。ジャニーズが強いのはこれまで通りではあるのだが、AKB48を始めとする秋元康プロデュース作品が多数ランクインした。また、今年は良い意味でも悪い意味でも目立つことになったK-POP勢もTOP100内に14曲と奮闘*1。
101位の少女時代を加えて、これら3ジャンルのTOP101入りした楽曲の推定売上枚数を合計したところ、1856.9万枚というものすごい数字になった。2011年11月までの年間シングルCD生産枚数は5662.5万枚、12月分を加えると1割弱ほど増えそうだが、日本のシングルCDの1/3くらいはこの3ジャンルが占めていると言ってもよいのではなかろうか*2。
昨年からシングルCD市場が上向きつつあり、今年も11月までに前年度を大幅に上回っているのだが、ジャニーズ以外の2ジャンルが大いに貢献しているのだろう。ただ問題は、全体の底上げ感がないことに尽きる。懸念されるのは、この3ジャンルが強すぎてその他の作品の露出の機会が減ることにある。
秋元康プロデュース、ジャニーズ、K-POP以外の楽曲
この3ジャンルを除いたランキングを以下に。
昨年のTOP20では秋元、ジャニ、K-POP以外の楽曲は14位の坂本冬美「また君に恋してる/アジアの海賊」 (31.1万枚)、19位の福山雅治「初恋」(27.0万枚)のみだったため、ちょっとだけ上位が増えた感があるのだが、昨年のTOP100では50曲以上がランクインしていたことを考えると今年のTOP100内の33曲はだいぶ少なく感じる。
チャートに並ぶ顔ぶれを見ると若い人が少ない。芦田さんと福くんはものすごく若いんだけど、そういうこっちゃなくて。この5年間(2006年以降)にメジャーデビューした歌手に絞るとものすごく少ない。
マルモリとチームアミューズ!は企画物、三代目 J Soul BrothersはEXILE派生なのを考えると、実質、ニコ動きっかけでデビューしたClariSのみ。ちなみに『コネクト』は魔法少女まどか☆マギカのOP曲。
では、この10年間(2001年以降)でメジャーデビューした歌手を見てみよう。
EXILE、コブクロ、マキシマムザホルモン、Perfume、RADWIMPS、植村花菜、YUI、UVERworld。2005年が多め。『トイレの神様』を除いて着実にキャリア、ブランドを積み重ねてきた結果という印象。ただ、やっぱり少ないかなぁ。
シングルCDチャートの上位につけて露出を増やすショーケースとしての役割は年々弱まっているように感じているが*3、そこへ来て秋元康プロデュース、ジャニーズ、K-POP勢がチャート上位に押し寄せてきているわけで、ニューカマーにはますます厳しくなってきているように思う。
90年代にはシングルCDチャートで名を馳せたミュージシャンがたくさん出てきたものだが、今やそれも難しい。単に90年代のJ-POPブームはCDがバカ売れしたことよりも、00年代を通してミュージシャンがメジャーで、インディペンデントで活動を続けられる基盤を作れたことに(結果論ではあるが)意義はあったように思う。その点で、ニューカマーを十分に育てたとは言いがたい00年代の影響は、今後10年、真綿で首を絞めるように効いてくるのかもしれない。
余談
だからといって、AKBとかジャニーズとかK-POPが悪いんだーってわけじゃなくてね。シングルCDチャートというものがそうなってしまったというだけで。シングルCDチャートがこんな有様になっているというのは、私が指摘するまでもないことだろうし、シングルCDではなく着うたフルを主戦場にするミュージシャンもいる(参考:日本レコード協会:「着うたフル」有料音楽配信年間チャート)。昨年のエントリにも書いたようにすでに数量ベースでは『着うたフル>シングルCD』であり、ライトリスナーへの露出のために着うたを重視する戦略も当然ある。
ただ、未だにシングルCDチャートが偏重されたり、配信を含めた総合チャートが不在な状況が続いているし、近年のスマートフォンへの移行という変化を迎えて、こちらも過渡期にあるといえる。プリインストールアプリとして消せなくて困ることでお馴染みのレコチョクアプリを活かせると良いのですが。