レビュアーのプライド:なぜそのCDに最低点がつけられたのか?
Komodo Rockという音楽サイトのCDレビューページにて、元TOTOのSteve Lukatherのアルバムが最低評価をつけられている。10点満点中2.2点(内訳はアートワークの7点を除き全て1点)。
なぜそんな低い点数がつけられたのか、誰しもが疑問に思うだろう。そんなに最悪な内容だったのだろうか?しかし、レビュアーは「このアルバムを聞いたとき、そりゃもう素晴らしいものだった、とても心を揺さぶられたし、感情を掻き立てられた。本当は素晴らしいアルバムになるはずだった」という。
So what went wrong? Well that would be the dodgy Italian voice over that the label, Frontiers Records, have added over all bar two tracks on this album, supposedly to stop piracy and internet uploading.
Komodo Rock | Steve Lukather - Ever Changing Times
そう、レコードレーベルがアルバムのリークを防ぐために、楽曲の最中にアンチパイラシーメッセージを埋め込んでいたのである。何度も何度も。
this is not the way to do things, because as a reviewer I have to review what is put in front of me, what my ears hear, no what I want them to hear.
レビュアーとして、彼は自分が体験したこと、自分の耳で聴いたものをレビューしなければならないという。彼はこう続ける。
Well there's no chocolate here, but what we have instead is a disembodied voice telling me what I already know, and destroying all the hard work Steve Lukather has put into this album. I'm all for protecting the rights of artists and labels, but this is not the way to do it, this is not a solution, this is a request to reviewers to ignore what their ears tell them and imagine what this album sounds like.
確かに、「自分の耳が教えてくれることを無視して、このアルバムがどんな風に聞こえるのかを想像して」レビューを書いているレビュアーもいるだろう。当然、そういう割り切った考えをする人がいてもいい。でも、私はこんな風にアツい反応を返してくれるレビュアーがいることも、嬉しく思う。
これは、DRM(Digital Rights Management)ならぬARM(Analog Rights Management)といったところだろうか(意味が違うという指摘は勘弁ね。もちろん、こうしたアンチパイラシー対策の背景には、レビュアーの手に渡ったプロモ用CDからインターネット上へのリークが行われていることがあるのも事実である(必ずしもレビュアーがリークしているわけではないし、職務上プロモ用CDを手にした人の家族や知人などたまたまそれを手にした第三者による場合もある)。
彼のこうした反応を子供っぽいと思う人もいるかもしれないけど、私はそうは思わない。レビュアーはプライドをもって自らの感性で音楽の品質をレビューしているのだ。そうした人に対して、利便性を制限するならまだしも、品質を低下させたものをレビューさせるのであれば、こうした結果が生まれるのは必然ではなかろうか。
権利を守るために、品質を落とすだなんて、あまりに馬鹿げている。