1枚3,000円のCDが売れたときのJASRACの取り分

どうも「CDが高いのはJASRACがぼったくってるせいだ」と思っている人がいるようだ。痛いニュースなんかを見ていると、とりあえずすべての原因はJASRACだ、みたいな人が多いなぁと。私もJASRACは問題の多い組織だという印象を持っているけれど、かといってやることなすことすべてがおかしい、何か問題がある、という絶対的な悪の組織というわけでもないだろう。
ということで、CD1枚売れたときのJASRACのいわゆる「搾取」っぷりを考えてみるよ。

CD1枚につき…

JASRACはCD(オーディオ録音)における音楽著作権料として6%の音楽著作権使用料を設定して徴収している。CDが1枚3,000円だとしたら、

3,000円 * 0.06 = 180円

これが音楽著作権使用料として徴収される。JASRACはここから6%を著作権管理料として差し引く*1

180円 * 0.06 = 10.8円

ということで、JASRACが1枚3,000円のCDから得る音楽著作権管理手数料は10.8円、と。
つまり、JASRACがぼったくらなければ3,000円のCDが2 989.2円になる*2

ついでに

CD1枚の内訳を「音楽主義 第17号 p56」を参考に、引き続き1枚3,000円のアルバムを例にとってご紹介。

音楽著作権料(6%:180円)

一般的な例でいえば、著作権を譲渡された音楽出版社またはレーベルに渡る分*3。一般的なレートとしては、音楽出版社またはレーベルが50%を受け取り、残りを作詞家に25%、作曲家に25%分配される*4。180円からJASRACが6%の管理手数料を差し引いて残りは169.2円。これが分配される。

  • 音楽出版社またはレーベル:84.6円
  • 作詞家:42.3円
  • 作曲家:42.3円
原盤権料(12〜16%:380〜480円)

原盤制作者(録音にかかわった会社や個人)の取り分。レーベルが原盤制作をした場合には、レーベルの取り分ともいえる。レーベル以外が原盤制作を行った際にはレーベルが原盤制作者に印税という形で支払われる。また、ここには演奏、歌唱を行ったアーティストの取り分(新人の場合1%程度)、場合によってはプロデューサーの取り分も含まれる。

  • 原盤制作者:350〜450円
  • アーティスト:30円〜
流通(45%:1,350円)

流通にかかるお金。小売店の取り分はこのうち55%〜60%(CD1枚の25〜27%)。

  • 小売店を除く流通コスト:540〜600円
  • 小売店:750〜810円
レーベル(33〜37%:990〜1,110円)

CDの製造費(プレスとかジャケットのデザインとか)、宣伝販促費、管理費、純利益などレーベルの取り分。細かい詳細はこちら

  • レーベル:990〜1,110円

簡単なグラフ


まぁ、あくまでもCD1枚を例にとったときの話です。

補足として

*1:CD1枚で見れば0.36%

*2:消費税とか出荷枚数の0.95掛けとかそういう細かい計算は端折るとしてね

*3:アーティストは著作権をレーベル、音楽出版社に譲渡しており、そこからアーティストに印税という形で分配されている

*4:ただし、これは契約によるものであり、いわゆる印税のパーセンテージは個別の契約によって定められる