ファイル共有で入手した海賊版ソフトウェアをヤフオクで販売してオンラインストレージを使って配布した男が逮捕
海賊版をヤフーオークションにて販売していた栃木県の男性が著作権法違反容疑で逮捕されたとか。これだけ聞くと「またか」という感じなんだけど、おもしろいのはオンラインストレージを利用して海賊版ソフトウェアの受け渡しをしていたという点だろうか。
逮捕された男性は4月から5月にかけて、ヤフーオークションを通じて海賊版ソフトウェアを販売し、購入者に対してはオンラインストレージにアップロードしたファイルのURLを送付するという形で海賊版ソフトウェアを提供していた。オークションの出品時にも「引渡はDL渡し」と明記した上でのこと*1。
これまでオークションに限らず、海賊版販売と言えばCDRに書き込んだものをシリアルを同梱して送るというものが一般的であったが、昨今ではオンラインストレージが容易に利用できると言うことから、こうした手口を思いついたのだろう。もしくはこうした手口が既に一般的になりつつあり、逮捕された男性はそれをまねしただけともいえなくないが。
摘発の経緯
ACCSによると、福岡県警筑紫野署の署員がサイバーパトロール中に、この男性の出品を確認し、ACCSによるとを通じて権利者に連絡したとのこと。またACCSに対しても今年4−5月の間に5件の情報提供があったという。また、福岡県警はこの海賊版販売行為の事実を確認するために「買い受け捜査」も行っていた。
これまでの海賊版販売の事件を見ていると、警察から連絡を受けたケースで逮捕に至っているものが多いなぁという印象を受ける。この辺の事情についての詳細はほとんどわからないのだけれど、警察の側から働きかけのあるようなケースだと警察の側が積極的に動いてくれるということなのかな。
海賊版マスターコピーの入手経路
この男性が販売のためのマスターコピーを入手するために利用したのが、BitTorrentやCabosだとされている。BitTorrentやGnutellaネットワークには数多くのWarezが流通しており、単純にそれらをダウンロードして販売していたというところなのだろう。確かに、P2Pファイル共有を利用したソフトウェアの違法流通は、これまでの海賊業者から海賊版を買わずとも容易に違法コピーを入手することができるという点で、海賊業者を失業に追い込んでもいるが、その一方でカジュアルな海賊業者を生み出しているとも考えられる。
それにしても
こうしたやり口はCDRを送付するというコストをなくするものだよなぁと思ってみたり。出品>アップロード>落札者へメールだけですんでしまうのだから。
P2Pファイル共有から海賊版ソフトウェアを入手し、ヤフオクでそれを販売し、オンラインストレージにファイルをアップロードし、メールでそれを伝える、それだけ。
海賊版販売は変わりつつある?
今のヤフオクを見ていると以前ほど海賊版があふれているという感じはしないのだが、それでも依然として怪しいものはあって、今回紹介した事件以上にローコストなものだったりする。簡単に言えばシリアル売り。最近では体験版を導入して、その後ライセンスを購入、シリアル入力で正規版にというソフトウェアが増えている。それを逆手にとって、Keygenなどを利用してシリアルを生成、それを販売して体験版に入力してね、というものなのだろう。
こうした新手の海賊版販売にどうやって対応していけるのか、という点も興味深く見守っていきたいところだ。
余談
なお、ACCSではこうしたネットオークション、Webサイトを利用した海賊版販売などの情報を受け付けている。
不正コピー防止ポストというボタンから、フォームに入力して情報を提供することになる。オークションの場合は以下のような形式。
特に自分自身の情報を入力する必要がなく、気軽に情報提供できる。オークションなどで気になる出品者がいれば連絡してみるのもいいかもしれない。