熱狂的なファンは「同じ」CDをいくらでも買う

AKB48のあこぎな商売が問題になってるみたい。

アイドルユニット「AKB48」のシングルCDを買ったらランダムにメンバーのソロポスターをプレゼントする、などとうたった景品商法がネットで論議を呼んでいる。「あざとい商法だ」と批判する声もある一方で、好きなメンバーのポスターを手に入れようと、早くもネットオークションが過熱している。

J-CASTニュース : 「AKB48」のポスター景品商法 ネットオークションが過熱

これ、どんなもんかというご説明。
AKB48が活動している「AKB48劇場」でシングルを購入すると、特典としてメンバーのソロポスターがついてくる。メンバーは44人で全部で44種類、これがランダムでついてくる、と。その44枚をフルコンプするとAKB48のイベント「春の祭典」に参加できるのだとか。
イベントには最低でも44枚購入しないと参加できない上に、44枚買ったところでフルコンプする確率は1/77京1468兆8909億1789万4000。まぁ、ビックリマン1箱買ったところで、1シリーズコンプできないのと同じだわね。

いいか、みんな

        (゜д゜ )
        (| y |)


「信者」という言葉は

       信 ( ゜д゜)  者
       \/| y |\/


二つ合わさって「儲ける」となる

        ( ゜д゜)  儲
        (\/\/


つまり、お前達「信者」は金づるでしかないと言うことだ

        (゜д゜ )
        (| y |) 

上記の記事が面白いのは、公取委に取材し、この販売手法に問題がないかを確認しているところ。とりあえず、現状では違法性を問うのは難しいようだ。ペプシビックリマンなんかは、商品価格が低かったから公取委からの勧告を受けたってところなんだろね*1
ただ、その当人たちは一部から上がる悪質なやり方だ!という批判に答えてなのか、返品の受け付け、イベントの中止を発表している。

AKB48ニューシングル「桜の花びらたち2008
AKB48劇場販売限定特典ポスター・コンプリート購入者ほか対象
春の祭典」ご招待施策中止のご案内 (2008.2.28)

謹啓 平素は格別のお引き立てをいただき、誠にありがとうございます。

このたび2008年2月27日(水)に発売となりました、AKB48のニューシングル「桜の花びらたち2008」のAKB48劇場販売の限定特典ポスター (メンバーソロカット)ならびに44枚コンプリート「春の祭典」ご招待企画におきまして、ファンの皆さんの加熱を招いてしまったことを深くお詫び申し上げます。

当企画の「桜の花びらたち2008」発売に伴う「春の祭典」ご招待施策が「独占禁止法」上の「不公正な取引」に抵触する恐れがありましたので、AKB48春の祭典」の実施を含め、施策を中止とさせていただきます。

これに伴い、AKB48劇場にて既に複数枚の商品をお買い上げになった方の中で返品をご希望のお客様につきましては、返品受付等の処置をとらせていただきます。

インフォメーション

返品対象になるのは、未開封のCDと特典ポスターをセットで、AKB48劇場まで持ってきた場合になるらしい。不正に販売してたって意識あるなら未開封もくそもないもんだけどね。
個人的にはファン心理を多少煽るくらいならありだとは思う。会場でしか手に入らないグッズなり、特典つけるってのも、会場に足を運べない人にとっては残念なところだけど、それでもそういった会場に足を運ぼうという動機づけにはなるし、ファンならそういった会場に行って損した〜なんてことはそんなにないし。
でも、CDの景品を操作して、あらかさまに1人に何枚も売りつけようとする戦略はとても不愉快。以前にも同様の手法で何枚も売りつけようとしていたことみると、こうしたやり方に味を占めたってところなのかな(参考:秋の学園祭2007 - AKB48オフィシャルブログ
こういったやり方はAKB48に限った話じゃないけど、盲目的なファンでも懐疑的に見てしまうようなやり方を、ファンでもない人はどう思うか、ってことくらい考えればいいのに。どうでもいいのかな。
チャートハックしようとしてなのかどうかはわからないけど、ほんと嫌な気分になる。景品のためにファンが「同じ」CDを何枚も買わなきゃいけないなんて異常だよ。なら、その景品をグッズとして、チケットとして販売すれば?と思う。
こうしたCDと特典のお話を聞くと思い出すのが、BeckのThe Information。

ベックのニュー・アルバム『The Information』が、UKチャート入りを認められなくなった。Official Chart Company(OCC)は、同作には“おまけ”が多すぎると判断したそうだ。
〜中略〜
ベックは、OCCの決定にチャート入りしようがしまいが「大した問題じゃない」と感想を述べている。「CDのアートは買って聴いてみようという意欲を促進するもの。最終的には(チャート入りは)関係ない。ファンからの反応は、かなりいい。それが1番大切なことだ」とBillboardで語っている。

ベック、規則破りでUKチャートに認められず / BARKS NEWS

OCCはこのCDの特典としてついてくるDVDとかシール*2が競争において不公正に働くと判断したと。
個人的には、こうしたOCCの判断は納得のいくものなのだけれども、Beckの反応もよかった。確かに音楽そのもので勝負しろと言うのもわかるのだけれど、こうしたポップなグッズがついてくるのもまた楽しい。
こうした販促のための特典という点では、AKB48Beckも違うところはないのだろうけれど、買おうかどうか迷っている人を後押しするための販促ツールと、特典欲しさに何枚も同じものを買わせるという販促ツールではぜんぜん違うと思う。私はこの『The Information』を1枚持っているけど、もう1枚ほしいとは思わないし、もしBeckが同じものを何枚も売りつけるようなやり方をすれば、やっぱりそれには反発するだろう*3
と、なんだかBeck礼賛みたいになっちゃったけど、これも私がBeck信者だからってことなのかしら・・・。

Information

Information

*1:ビックリマンがヘッドインフレを起こしたのは、売れなくなって自暴自棄になったんだろうなぁと思ってたんだけど、こうした背景があったのね。参考:ビックリマン - Wikipedia

*2:ジャケットにはって好きにデザインしてくれ!というもの。

*3:まぁ、熱狂的なファン以外には総すかんを食らうようなやり方は通常できるわけもないけどね。