産経さま、「Spotifyが先行登録開始!日本上陸間近!」とかガセもほどほどにしてください

ちょっと予定を変更して小ネタ。

MSN産経ニュースにて、日本でもSpotify開始間近だと報じられている。これが事実なら喜ばしいところなのだが、その内容を見るに、根拠薄弱と言わざるを得ない。

欧米で大変な話題となっているスウェーデン生まれの音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」が、遂に日本でのサービス開始をにらみ、先行利用者登録を開始したからです。

【岡田敏一のエンタメよもやま話】1500万曲タダで聴き放題! 北欧生まれの音楽配信サービス「スポティファイ」日本上陸間近(1/5ページ) - MSN産経west

この先行受付登録を根拠として、日本でもサービス開始間近か、という報道を目にする。

メジャーレーベルの音楽を無料で聴き放題のストリーミングサービス「Spotify」で、このほど日本のユーザー向けにメールアドレスの登録受け付けが始まった。現在は日本からは利用できないが、日本上陸を計画しているようだ。

音楽を無料で聴き放題「Spotify」が日本上陸? 登録受け付け始まる - ITmedia ニュース

そんなSpotifyですが、日本のユーザ向けに先行登録の受付を開始しましたよ。あくまで噂ではありますが、これはちょっと期待しちゃってもいいんじゃないでしょうか。

【噂】音楽ストリーミングサービス「Spotify」がついに日本に上陸か? : ギズモード・ジャパン

いや、この程度では大して期待できないと思うよ。実際、先行登録なんてものではなく、「おたくの国でサービス開始したら通知するね、だからメールアドレス教えてね」というもの。

これはSpotifyがローンチした当初からのもので、私も3年ほど前に登録している(が、音沙汰はない)。国際展開を狙うサービスが同様の通知受付をしているのは、新しサービス好きの方はよくご存知だろう。「おま国」(「売ってるがお前の国籍が気に入らない」もしくは「お前の国には売ってやんねーよ」*1)とも揶揄されるリージョン問題の一形態とも言える。

「日本」ユーザ向けに登録開始したなら、ローンチ間際では?

日本ユーザに向けての登録開始なのだから、何かの兆しでは?と思われるかもしれないが、この辺はコミュニケーションの問題も含まれているのかもしれない。「あなた」だけに限定された(ように思える)パーソナライズされたコミュニケーションの妙とも言える。

この登録受付は「日本だけ」に見えて、実のところそうではない。日本人には「日本だけ」に見えるというだけなのだ。では、他の国の人達にはどう見えているのだろうか。Proxy経由で見て見ることにしよう。

韓国

台湾

中国

ジンバブエ

これを見て、「そうかSpotifyジンバブエでサービス開始か、やるな!」と思っただろうか?結局のところ、IPアドレスで地域判定して、パーソナライズされたコミュニケーションをしているというだけの話でしたとさ。

もちろん、Spotifyが近いうちに日本で開始される可能性自体を否定しているわけではなく、仮にそういった動きはあったとしても、上記の記事にあるような根拠は全く当てにならないよね、ということです。

余談

Spotify開始間近」の根拠は他にもあるみたい。

Spotifyの日本展開はICJという会社が展開しており昨年9月から「初年度で1万曲を国外のSpotifyに提供」という目標を発表している。しかし国内での展開がどのように行われるのか、詳細は今のところ不明だ。

OOPS! ウープス - 音楽聴き放題サービスのSpotify、まもなく日本上陸?

これ、国内ディストリビューターSpotifyへの楽曲提供を開始し、力をいれている、という話で、Spotifyの国内展開を引き受けるというところまで推測するのは飛躍しすぎだと思うよ。

アドレス登録云々も、国内ディストリビューター云々も、こちらブログの早とちり記事から派生したもののように思える。ブログ記事(もしくはそこから広がった噂)をきっかけにするのは良いと思うが、そのネタをニュース媒体で扱うならもう少し精査してもよさそうなもの。また、勘違いに気づいたならアップデートする位はしたほうがよいよね。修正が加えられているのが、そのブログ記事だけというのだから、なんともはや。

ちなみに、FaccebookのSpotify Japanアカウントは、Spotifyとは無関係の第三者だと思いますよ。

*1:ゲーム配信サービスSteam用語