私的録音録画補償金を維持しつつ、私的複製を防ぐウルトラC

補償金でカバーすべき「例外」も2種類示した。(1)音楽CDからの録音、(2)無料デジタル放送からの録画――だ。(1)は現在、事実上コピーフリーとなっているため。(2)については、地上デジタル放送の「ダビング10」が「権利者の要請に基づくルールではない」ため、「補償金で手当てすべき」としている。

私的録音録画小委員会:「DRMが普及すれば補償金縮小」で合意へ - ITmedia News

すごいウルトラCだなー。事実上のDRMである「ダビング10」も、その主体が権利者ではないと言い切ることでクリアしちまったか。
この状況は、ユーザサイドとしては私的録音録画補償金に関してはほとんど変わらないってことになるね。ブランクメディア/レコーダーを購入しても、この2つの品目を録画、録音するために利用される、という前提にされるだろうから、結局今までどおり支払うことになる。で、iPod課金議論にしても、CDから録音するんだから、やはり必要だという主張ができる。
結局、これで変わるのは、金の流れ方。

「(DRMを活用し、ユーザーと権利者が契約ベースでコピー回数を決められる)ネット配信事業などから段階的に30条の適用範囲を縮小し、権利者が利益を確保しやすくする」――といった方法を提案する。

でもって、DRMが施されるものに関しては、原則私的複製を許可しないという方向で進めていくと。こりゃ、DMCAどころじゃないね。ユーザの主体的な複製そのものを禁止しようってんだから。「いやいや、複製ができなくなるわけじゃないですよ、コンテンツプロバイダが許可してくれればできますから、ライセンスですよライセンス」、というところか。
さて、タイムシフト、プレイスシフト、メディアシフトといったコンテンツの利用をブーストするトレンドには、少なからず複製を要するものがある。しかし、それがトレンド足りえるのも、それがユーザの利便性を高めるというデマンドでもあるためだ。そこを金脈にしたいというところだろうけれど、利便性によって支えられたトレンドから利便性を抜けば、そのトレンドは勢いを失うだろう。へぇ、DRMで管理されるだけなので、複製ができなくなるわけじゃありませんよって?そりゃ、トレンドについていけている奴のいう台詞だね。

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