児童ポルノ販売で逮捕された男、ソースは無線LANタダ乗りで入手か

ってタイトルのほうが誤解を招かないと思うんだけどなぁ、産経ニュースの記事。

インターネットオークションで児童ポルノのDVDを販売していたとして、警視庁少年育成課と三田署は児童ポルノ禁止法(提供目的所持)違反の現行犯で、千葉県市川市大和田、無職、押井正和容疑者(49)を逮捕した。押井容疑者は他人が契約した無線LANを勝手に使ってインターネットに接続。児童ポルノの作品を手に入れるなどしていた。

無線LANタダ乗りで児童ポルノ販売 男を逮捕 - MSN産経ニュース

ここまでだと、タダ乗りした無線LANからどうやって犯人にたどり着いたの!?と思ったのだが、実際の逮捕のきっかけはどうもネットオークションで販売していたためのようだ。

同課の捜査員が8月、ネットオークションで児童ポルノとみられるDVDを発見。販売していた押井容疑者の自宅を捜索し、逮捕した。

おそらくは逮捕後に、他人の無線LANにタダ乗りして、ファイル共有ネットワークから児童ポルノコンテンツを入手、それをネットオークションで売りさばく、というのを繰り返していたことがわかったというところかも。
海賊版ソフトウェアなどでもそうだが、ソースをファイル共有ネットワークからダウンロードし、それをネットオークションで販売するというケースが多いように思える。もちろん、昔ながらの海賊業者もこうした手法を用いているのだろうが、そういった人たちではない人でも、簡単に行うことができるというところもあるのかなと思える。

無線LANを不正に使われて違法行為をされるというリスク

今回の件では全く問題にはなっていないのだが*1無線LANをタダ乗りされ悪用されることは、その無線LANの設置者に対しても不利益をもたらしかねない、ということも考えなければならないことだろう。
もし今回の件が、児童ポルノ撲滅に向けたオペレーションであったとしたらどうだろうか。実際に児童ポルノの共有を行っていた人物までたどり着けただろうか。もしかしたら、その無線LANの設置者が児童ポルノ共有をしていたとみなされることはないだろうか。
こうした問題は実際に生じている。著作権侵害に対するケースではあるが、ドイツ、デンマークでは、無線LANが悪用されたかどうか、つまり実際に誰が著作権侵害行為を行ったのかを確証することができないのであれば、その設置者に責任があるとまではいえないという判決が下されているし、英国においても著作権クレームに対してそういった反論がなされていたりもする。

これらのケースが、単にワイヤレスディフェンスのための方便を用いているのか、それとも実際にタダ乗りされ、悪用されたのかはわかりようもないが、それでも未だにアンセキュアな設定で無線LANを設置している人は少なくないだろう。また、fonのようなデバイスを利用してインターネット接続を共有している人たちもいる*2。こうした無線LAN設置者たちがオープンしているインターネット接続を悪用した犯罪行為が行われたとき、その設置者に対する責任追及や、ターゲットを誤った追及などが生じないとも限らない。
無線LAN設置者がセキュリティに気を配るように促すことは当然必要であるが、それでもこうしたアンセキュアな無線LANは数多く存在するだろうし、どこまでいってもゼロにはならないだろう。こうしたケースをどう扱うか、ということもよく考えなければならないことだと思っている。

*1:ほとんどネタ扱いのような気がする

*2:もちろん、fonのようなサービスであれば最終的には悪用したユーザをトレースできるかもしれないが